紹介患者さんの治療。

主訴は、

被せた歯の根の治療の後、痛みがあるのでここまでに至りました。現在は触ったり、噛んだりしなければ痛みはないです。

である。

Pre-op Endo Test(2026.10.16)

石灰化根管の治療が必要だが、紹介依頼がApicoectomyであるので、分析した。

頬側の皮質骨はあるような、ないような。。。

ある!と信じてSubmarginal Flapして歯肉が下がると紹介元に申し訳がないので、Papilla baseで行うことにした。

上顎前歯の麻酔の効く時間が短いため、麻酔後の待機時間10分を組み込んでも、治療は数十分で終了しなければならない。

言うは易く、行うは難しのApicoectomyである。

また、根管治療をせずにApicoectomyしていいのか?という批判には、

Jonasson 2017 Retrograde root canal treatment: a prospective case series

が答えを出してくれている。

その成功率は2年で90%だ。

短い!というクレーマー?も世の中にはいるのだろうが、

あなたはすべてのケースで、確実に2年以上経過を見ているのだろうか?

私には、甚だそれが疑問でしかない。

Pre-op Endo Diagnosis(2026.10.16)

Pulp Dx: Previously initiated therapy

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Apicoectomy

同日、治療へ移行した。

☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。

#7 Apicoectomy(2026.10.15)

Apexを発見し、Root resectionしてメチレンブルーで染色した。

垂直に切断すればこのように切断面が判然としないということがわかる。

ということはこの時点でRetroprepの深さは1mmでも治癒が保証される可能性が出てくる。

その根拠は私がいつも引用する以下だ。

ベベルは極力、つけない方がいいのだが、

Gagliani 1998  Ultrasonic root-end preparation: influence of cutting angle on the apical seal

Gilheany 1994  Apical dentin permeability and microleakage associated with root end resection and retrograde filling

仮につけてしまっても、3.5mm逆根管形成できれば封鎖は担保される。

 

そしてRetroprepが何らかのアクシデントで歪んでしまっても、その際に平行に切断できていれば、逆根管充填が1mmの深さメイン根管に入っていれば、病気は治癒していく。

Rahimi 2008 Comparison of microleakage with three different thicknesses of mineral trioxide aggregate as root-end filling material

つまり、逆根充後にCBCTで見るべきポイントは、

①平行に切断できているか?

②メイン根管に対して深さが1mmの逆根管充填されているか?

の2点であるということがこれらの文献から結論づけられる。

前置きは横に置き、逆根管形成し逆根管充填し、PA, CBCTを撮影した。

PAでは問題がないように見えるが、CBCTでは、

  

ほぼ平行に切れている+メイン根管は逸脱?しているように見えるが、

咬合面から見ると逆根充が根のほぼ中央で問題がなさそうだし、

垂直カット+1mm逆根充なので、これも修正不要であろう。

私はこのようなケースでかつて行なったApicoectomyを思い出さずにはいられない。

平行に切断できれば、そして1mmMTA系材料で封鎖できれば、勝負に勝てる余地はあるのである。

ということで、問題はないと判断し、縫合して終了した。

次回は半年後である。

1mmの?逆根管充填は標準術式より浅く、その臨床的な長期予後については十分な比較研究がない。

術中所見と画像評価から修正せず経過観察することとしたこのケースの長期的な予後については今後の評価が必要である。

またこの治療の経過を後日、お伝えしたい。