今日は再治療の予後を決める重要因子は、
再根管形成量の程度よりも本来の根管が維持されていることの方がより重要!?
であろうというケースをご紹介したい。
昨日の記事に対するアンチテーゼである。
以下の患者さんは治療時には無症状で、補綴治療のための再根管治療であった。

臨床症状はない。
PAでも根尖病変もない。


CBCTを撮影すると、
MB

ML

D

確かにこの根管治療では補綴は心許ないだろう。
なぜなら、
MBは石灰化しており穿通せず,
Dはこれまた石灰化があり、前医があらぬ方向へ根管を誘っている(トランスポーテーションしている)ことがわかる。
一言で言えば、
本来の経路が失われている根管の再治療
である。
が、文献的には、

根尖病変はないので, 84%も成功率はあることになる。
以下のように治療を行い、



MB

ML

D

補綴のために半年待つのだが、かかりつけ医から治療した部分の歯茎が腫れたと連絡があった。
#19 Re-RCT 5M recall(2026.7.2)




MB

ML

D

B

初診時と比べると以下だ。

MもDも問題が大きくなっているし、歯槽骨も吸収されている。
ということで、この日にM+DのApicoectomyに移行せざるを得なくなった。
が、半対測同名歯と比較して、


以上のような工夫をしなければならない。
処置し、


M

D

B

治療は終了した。
さて。
今日ご紹介した症例から考えさせられることは、
再根管治療の予後には、再根管形成量の多寡よりも、本来の根管経路(Original canal path)がどれだけ維持・再現されているかの方が重要なのではないか?という点である。
本症例では、MB根は石灰化により本来の根管へ到達できず、遠心根もトランスポーテーションによって本来の経路が失われていた。根尖病変は認めなかったことから文献上は比較的良好な予後が期待されるケースであったが、再治療後わずか5か月で腫脹を生じ、CBCTでは根尖病変および歯槽骨吸収の進行を認め、最終的に外科的歯内療法(Apicoectomy)へ移行せざるを得なかった。
この経過を見ると、再根管形成量(どこまで形成を拡大したか)よりも、本来の根管経路を維持・回復できたか?が予後を左右する重要な因子である可能性を強く示唆しているように思われる。
形成量だけに目を向けるのではなく、「本来の根管をいかに失わないか」という視点も、再根管治療では同じくらい重要なのかもしれない。
もちろん、本症例は一症例であり、これだけで因果関係を断定することはできない。
歯内療法に携わる先生方には、ぜひ一つの臨床的示唆として記憶に留めていただきたい症例である。