以前の治療の経過観察と再度の歯根端切除術。

【改変版】歯茎が腫れて痛い…#30 M Apicoectomy

処置後3ヶ月に急患で来られた、その主訴は、

外科治療をした部分の歯茎が腫れた

である。

1回目のApicoectomyは2026.4.21に行っていた。

MB

ML

クラウンのマージンより7mm下方に#30 MのApexがある。

術後は以下だ。

申し分がないと思ったのも束の間、

外科治療した部分の歯茎が腫れた…

とOpe3ヶ月後に連絡がある。

Post-op 3M recall(2026.7.22)

腫れている部分を触れると痛みもあった。

PA, CBCTは以下である。

3ヶ月前と比べると、

むしろ大きさは小さくなっているようである。

なので、ここで結論(Re-Apicoectomy)を急がず、来月もまた見せてもらうことにした。

#30 M Apicoectomy Post-op 4M recall(2026.8.27)

  

4ヶ月経過しても歯槽骨の欠損は回復せず、歯肉も腫脹し、PAでさえ根尖病変が大きくなり、臨床症状も酷くなっている。。。

この時点で、Re-Apicoectomyが決定的である。

しかし、なぜ、こうした事態に追い込まれたのか?といえば、

ひとつは、

切断したのは根尖部の1/3のみだから

である。

患者さんの免疫力よりも細菌の毒性が強ければ、まだこの30%も消去しなければならない。

ではその量はどれくらいなのか?といえば、

 

7mmを根尖1/3, 根中央  2/3, 歯頸部3/3で分割すれば1つの単位は7÷3=2.3mmだ。

そこからすれば、切断量が不足していたのだろうか?

いずれにしてもやり直しの外科治療で、根中央も消し去りたいので、

2.3×2=4.6mmは切断したい。

とすれば、

7-4.6=2.4mmの歯根が残ればそれは達成できるということになる。

が、

それをしようとすればApico-marginal bone defectを作ることになる。

すると、過去のように問題が起きる可能性があり患者さんの術後の清掃に依存する羽目になる可能性が高いだろう。

Apico-Marginal Defectを人為的に作成すると…〜#14 Intentional Replantationとその1yr recall

Apico-marginal defect=歯肉退縮ではない?術後早期の創傷環境が鍵となる可能性。。。〜#3 MB Apicoectomy 6M recall

ということは、

Apico-marginal bone defectを作らないようにギリギリまで歯根を切除してApicoectomyする必要性があるということが術前にわかる。

その際の歯根削除量は最大で2mm(+0.5mm)程度である。

が、意図的でなくても歯槽骨を破損させる可能性があるのでそれがうまくできるのか?はわからない。

が、やり直し外科治療なので再々・歯根端切除術はできない以上、この1回で決めるしかないのである。

もしくは歯根が折れているのか?

いずれにしても精査するような再・外科治療になるだろう。

☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。

#30 M Re-Apicoectomy(2026.9.17)

掻爬後に#30 MのApexを見つけた。

ここからApico-marginal bone defectを作らないギリギリの位置まで切断した。

すると…

Retroprep, Retrofillが舌側に進展していなかったのだろうか?

さらに頬舌的にRetroprepをし、修正して逆根充した。

Retroprep時に窩洞が遠心方向に穿孔してしまった。

が、すぐさまRetrofillするので問題はないと思われる。

が、しょっぱい逆根充の絵になるのは避けられないだろう。

頬側の皮質骨も薄皮一枚を以下のように保全した。

PA, CBCTを撮影した。

 

残った歯根の長さが2.2m、つまり私はこの歯の治療でトータル4.8mm切断したことになる。

最初の予定の2/3の根尖の切除ができたと思われる。

また、最初のApicoectomyはあまり舌側側を形成できていなかったのだろうか?。

比較するとそれが明らかだからだ。

 

頬側の皮質骨が残存していることを再度確認して、縫合して終了した。

1週間後が抜糸であった。

Sinus tractは消えただろうか?歯根の露出は無いだろうか?

#30 M Re-Apicoectomy Suture removal(2026.9.24)

Sinus tractは消失し、歯肉退縮もなかった。

このやり直し治療の原因はやはり、

①60%の側枝の切断では患者さんの免疫力を細菌の毒性が下回らなかったこと

②Retroprepがやや頬側寄りだったこと

の2つが敗因に挙げられるだろう。

しかし…

何本やってもApicoectomyは奥が深いなあと感じる。

が、

うまくいかない時にこそ、より良くなる秘密・秘訣・真実がそこにはあると私はいつも考えている。

そして、

これだからこの仕事は楽しいと私は感じている。

この業界に入るきっかけが、

大学受験の失敗から来ている私にとっては今この人生に若干の違和感を感じざるを得ないが、

患者さんのためにこそ頑張っていこうと改めて思ったケースであった。

このままうまくいくことを祈念している。

次回は半年後である。

またそ模様をお伝えしたい。