紹介患者さんの治療。

#2 Intentional Replantationの依頼である。

患者さんには主訴と症状があった。

患者さんの主訴は、

右上の奥歯で噛めない。噛むと痛い

であった。

歯内療法学的検査が行われた。

#2 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WML), Mobility(WNL)

#3 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WML), Mobility(WNL)

検査をすると主訴を再現できた。

これは歯内療法により問題を改善できる可能性が高い。

次にPAである。

PA

近心根には破折ファイルが見える。

まず治療前に#4のApicoectomyと#2のメタルコア→ファイバーポストへの変更をおこなった。

以下が新しいPAである。

初診時には紹介元からCBCTも撮影してもらっていた。

CBCT

MB

MBは上顎洞と交通していた。

このままだと歯性上顎洞炎に進展する可能性がある。


DB

DBは薄皮一枚残っている感じである。

P

P根も尖通していない。が、もう少しでやばい状況だ。


以上から診断は以下になる。

#2

Pulp Dx: Previously Treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: #2 Intentional Replantation

と言うことでこの日にIntentional Replantationが行われた。

またこの日はスタッフがいなかったために、見学に来ていた歯科医師の先生に介助をしていただいた。

治療の模様は以下になる。


#2 Intentional Replantation① 脱臼・抜歯(2022.10.24)

☆以下、臨床的な動画・画像が出ます。視聴したくない方はSkipしてください。

まず歯牙を脱臼・抜歯した。

2分くらいで抜歯できている。


抜歯した歯を観察した。

CBCT通りの3根である。

これがなぜ抜けるのか?といえば、

対象歯に根尖病変があり、その歯を脱臼させたからだ。


#2 Intentional Replantation② 歯根端切除

次に根切した。

どうすれば3mm切れるか?ご存知だろうか?

ご存じなければ、わかっている人に習わなければならない。

それかAdvanced Courseへの出席が必要だ。


次に切断面をメチレンブルーで染色した。


MB2が存在する歯であった。

が、治療前にはMB1でファイルを折っているので治療者の心も折れたのだろう。

逆根管形成へと移行した。

#2 Intentional Replantation③ 逆根管形成


以下の極細のMIバーで逆根管形成した。

さて実はこの道具を使用すると、逆根管形成後に注意すべきことがある。

それは後で述べよう。

ということで、逆根管充填へ移行した。

#2 Intentional Replantation④ 逆根管充填


逆根管充填後にPAを撮影した。

MIバーで作成された窩洞は極細すぎるので、BC sealerが根管の中に完全に回っていなかったようだ。

したがって、私は

根管充填で使用するコンデンサー

を使用して逆根管充填した。

以下のようになる。


逆根充後にPAを撮影した。

今度は問題ないと判断し口腔内に戻した。

#2 Intentional Replantation⑤ 再植


再植後にPAを撮影した。

次回は2ヶ月後に経過観察していく。

さて。

上記の治療は30分で終了している。

どうすれば30分で終了するのだろうか?

鍵は抜歯時の脱臼方法、逆根管充填の方法にあるといっていい。

今日ブログで説明したポイントを頭に入れて治療してみよう。

きっといい結果が出るはずだ。

ということで次回は2ヶ月後にその際の状態を評価する。

その時の模様をまた報告したい。それまで少々お待ちください。