紹介患者さんの治療。

主訴は

右上奥歯の治療希望

であった。

歯内療法学的検査は以下になる。(2022.9.29)

#2 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Cold N/A, Perc.(++), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#4 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下になる。

術前PA(2022.9.29)

CBCTも撮影していただいた。

術前CBCT(2022.9.29)

上顎洞底の粘膜が肥厚している。

#3もCBCTでCheckした。

#3のMBとDBは問題がなさそうであるが、Pは上顎洞と交通している。

この部分の治療の失敗がこの状況を呼んでいると言っていいだろう。

この部分をどう治療するか?だ。

口蓋の歯肉のフラップをめくるか?Intentional Replantationを選択するかである。

歯内療法学的診断は以下になる。

#2

Pulp Dx: Previously Treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Intentional Replantation

#3

Pulp Dx: Previously Treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Intentional Replantation

ということで私はIntentional Replantationを選択した。

口蓋をフラップ開けるというのはことの他治療がしにくいのである。

そんなことをするなら抜いたほうが簡単だ。

ということで患者さんに治療計画を説明し、実際の治療へ移行した。

まず#2をIntentional Replantationし、その後、#3をIntentional Replantationする計画である。


#2 Intentional Replantation⇨Core build up with Fiber Post①(2022.11.9)

☆この後、臨床的な動画が出てきます。気分が悪くなる方は試聴をSkipしてください。

まず歯牙を脱臼させ、抜歯した。


抜歯後に抜歯窩をCheckしたが、Gutta Percha Pointの塊があるだけであった。

Gutta Percha Pointの塊の扱いについては、Basic Course 2022などで述べている通りである。

知らない人はBasicで学習してください。

ということで、Apicoectomyに移っていく。


#2 Intentional Replantation② Apicoectomy(2022.11.9)

P, DB, MBと3mm切断していった。

そしてメチレンブルーで染めて状況を確認している。


#2 Intentional Replantation③ Retroprep(2022.11.9)

逆根管形成した。

深さが3mmになるように調整している。


#2 Intentional Replantation④ Retrofilling(2022.11.9)

最終的に逆根管充填した。

Lid techniqueで逆根管充填している。

この歯のPAを撮影した。

問題ないと判断し、支台築造を行った。


#2 Core Build up with Fiber Post(2022.11.9)

口腔外なのでラバーダムをした状態での処置が行えるのでかなり有利である。

口腔内ではクランプがかからなかったが、口腔外では関係がない。

歯牙を抜歯窩へ戻した。


最後にPAを撮影した。

かかった時間は30分である。

時短ができる治療方法としてIntentional Replantationはもっと世の中に広まっていいはずなのだが…広まらない。

それは臨床家の誤解からきているだろう。

もっときちんと学べばいいのに…

と思わずにはいられない。

Advanced Course 2023への参加をお待ちしていますとしか言いようがないのである。

ということで次回は1ヶ月後である。

その際にこの治療の続きがどうなったか?を報告したい。

それまで少々お待ちください。