紹介患者さんの治療。
主訴は、
左上の奥歯がすごく痛い
であった。
#14,15にはZrのオールセラミッククラウンが仮着されていた。
リムバーブルノブがそれを証明している。
検査を行った。
歯内療法学的検査(2023.4.11)
#13 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴が再現できている。
適切な治療を行えば、主訴は改善する可能性が高い。
が、リムバーブルノブが邪魔である。
特に#15はIntentional Replantationするなら、なおさらノブはいらないし内部の状態が気になる。
PA(2023.4.11)
かなり太いメタルポストコアが装着されていた。
これはできれば外したいが、すでに最終補綴が装着されているので手が出せない。
が、仮着であるので、
可能であればかかりつけ医に除去をOKいただきたい
そうした案件だ。
(その後、上記の案件をかかりつけ医に話すとクラウンの再生は保証期間なので可能であること、メタルポストコアを除去OKの許しが出た)
次がCTである。
CBCT(2023.4.11)
MBの根尖部には透過像が見える。
詳細を把握してみると、
MB
MBの長さは短い。
解剖学的にも“構える”必要性がある要素はないと思われる。
#14 MBを拡大すると、
おそらくMB2はない1根管だと思われる。
また、ここを3~4mmで切断すると、
頬舌的に5mm切断すればいいのでこれは簡単である。
かなり早い時間に治療が終わりそうだ。
DB
DBに病変はない。
ここは何もしなくていいだろう。
P
Pにも病変はない。
MBのみ扱えばいい。
これはかなり早い時間で終了しそうだ。
診断は以下になる。
歯内療法学的診断(2023.4.11)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Apicoectomy
治療はApicoectomy一択である。
ということで、この日にApicoectomyが行われた。
☆以下、外科動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。
#14 Apicoectomy(2023.4.11)
Flapを開けてどこにMBがあるか?であるが、CBCTを見れば見当がつくだろう。
近心根のマージン直下にApexは存在する。
その時のマージンからの長さは約6mmである。
そしてApexから3mmで切っても上顎洞に侵襲は加わらない。
つまり、安全にできると言うことである。
ペリオプローブでApexの位置を予測した。
しかしペリオプローブの裏ではすでにApexが透けて見えているような感じがする。
そこまで探索には時間がかからないだろう。
MBのApexを探索して根切した。
そして強拡大で切断面を観察する。
以前のブログでもその問題点を提示している。
歯根をなるべく90度に3mm程度の量を切断したら、その後に必ず切断部位をマイクロスコープを強拡大にしてその状況を確認しなければならない。
きちんと切れているのか?
残差はないか?
アゴが残っていないか?
などのCheckである。
上記の動画を見て何が言えるのか?と言えば、
切断部は
①MB2のP側部の歯質が切断しきれていない(アゴが残っている)
②出血量が多いので掻爬してなるべく見やすくする
などの工夫が必要だろう。
その後、メチレンブルーで染め逆根管形成を行った。
その後、逆根管充填を行った。
PAを撮影し、逆根管充填の精度を確認した。
以下になる。
問題はないと思われる。
最後に縫合を行った。
この1週間後に抜糸が行われた。
以下に動画を示す。
#14 抜糸(2023.4.18)
昨日、抜歯にこられたのでその模様をご報告しよう。
痛みや腫脹は全くなかったという。
次回は#15の治療へ移行する。
それまで少々お待ちください。