5/3~5/7までゴールデンウィークに突入する。
その間はブログの更新はないので、その前に非常に重要と思われる臨床のTipsを皆さんに紹介しよう。
今日から二日連続で同じ部位のApicoectomyをご紹介する。
一方は簡単であるが、もう一方は難しい。
その”違い”は何だろうか?
皆さんにその違いを公開しよう。
今日は簡単な方である。
明日は同じ部位で難しいケースを公開するので是非、二日連続で読んでみていただきたい。
紹介患者さんの治療。
主訴は
副鼻腔炎で頭痛があり困っている。歯が原因だと言われた。治療がしたい。
である。
歯内療法学的検査(2023.4.18)
#2 Cold+1/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#3 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
歯に痛みはない。
が、副鼻腔炎を治したいというのがこの方の主訴である。
そこを考慮しなくてはならない。
PA(2023.4.18)
CBCT(2023.4.18)
右上には上顎洞炎がある。
これは鼻か?それとも歯か?
詳細を見てみよう。
#3のCBCTを分析した。
#3 MB
上顎洞炎の原因は歯(MB)であるとわかる。
ラバーダムをしない根管治療の闇は深い。
また、CBCT分析に関しては
ApexはCEJから約10mmに存在することがわかる。
歯槽骨を1mm削るとMBのApexに到達する。
外科時はこういう絵になるだろう。
MBのApexは歯頸部の下部にちょうどある。
が、皮質骨に覆われているのでOsteotomyが必要だとわかる。
何度も繰り返すが、
約10mm下部を1mm掘ればMBのApexが手に入るだろう。
その後、何mm掘れば切断できるだろうか?
5.4mmだ。
5.4mmは長いだろうか?短いだろうか?
リンデマンバーの長さを測定すると…
全長11mmで太さは約1mmである。
これを定規のようにしてApicoectomyする。
5.4mmとはリンデマンバーの約半分の長さである。
これは長いとは言わない。
半分しかないのだ。
難しい場合は5.5mmを超えた場合である。
これに関しては明日以降ケースをあげて、ご説明しよう。
さて、それでも深さや長さ、大きさが分からなくなる人がいる。
それがどこにあるのか?わけがわからなくなる人は、バーに予め印をつけるといいだろう。
バーの大きさ、深さ、太さ、長さをあらかじめしれば、応用が効く。
これは非常に重要である。
しかも美味しいことにこのMBにはMB2がないことがわかる。
つまり、非常に早くこの歯の治療は終わるだろうと予想ができる。
こういうことを事前に知ることが重要だ。
敵を知り己を知れば百戦危うからず
である。
#3 DB
DBには病変はない。
ここは扱わなくていいだろう。
次がPである。
#3 P
Pにも病変はない。
つまり、この歯の問題はMBのみである。
しかもMBの切断幅がバーの半分しかない。
歯内療法学的診断(2023.4.18)
#3
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Apicoectomy
治療は根切一択だ。
しかも、
MB根の切断幅が5.4mmしかない。(バーの半分以下)
これで口角がやわらなかければさらに簡単な症例になる。
先日、下顎の大臼歯ですさまじく難しかった症例を出したがそれとの違いが明確になっているだろうか?
ということで、クラウン、メタルポストコアを除去しファイバーポストを用いたレジンコアに変更し、この日に外科治療へ移行した。
☆この後、外科治療の動画が出てきます。不快感を感じる方は試聴をSkipしてください。
#3 Apicoectomy MB(2023.4.18)
口角が柔らかい患者さんであるので、2歯近心の#5に縦切開を入れて外科治療をスタートさせた。
#3のMB根の歯頸部から10mm下部を探索して1mm削合した。
測定した”おぼしき場所”を1mmの深さ削合した。
Apexを見つけたので、リンデマンバーの半分の深さ削合した。
この時、リンデマンバーに印をつけておくと目安になっていいかも知れない。
外科ペンのご購入をお勧めする。
以下のサイトで販売している。
https://www.monotaro.com/g/01849894/
切断部位はほとんど何も調整が入らない。
やはり長さを測定するということは重要そうだ、ということがわかる。
何のエビデンスもないけれど。
メチレンブルーで染め出し、CBCT通りか?確認した。その後、Retroprepである。
マイクロミラーを使用してGutta Percha Pointが残っていないか、注意深く確認した。
その後、Lid Techniqueで逆根管充填である。
PAを撮影して状況を確認した。
問題はないと思われる。
最後に縫合した。
ということでApicoectomyは終了した。
かかった時間は…
28分である。
これくらいなら30分未満でコントロール可能である。
ということで今日は、” Easyな” 上顎大臼歯のApicoectomyをご紹介した。
明日は、難しい方のケースをご紹介したい。