バイト先での治療。
主訴は、
右上奥歯の鈍痛。疲れた時に歯が痛む…
であった。
歯内療法学的検査(2022.3.22)
#2 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#3 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
この日の検査ではその主訴(鈍痛と疲労時の歯牙の痛み)が再現できなかった。
画像診断を行ってみる。
PA(2022.3.22)
近心根の周囲に根尖病変が見える。
MBの根管形成はテクニカルエラーをしたかのような絵である。
これを修正するのは難しいだろう。
DB, Pは全く判然としない。
CTも撮影してみた。
CBCT(2022.3.22)
MB(B)
DB(B)
MBはトランスポーテーション、DBは石灰化+根尖部ファイル破折で穿通できていない。
P(B)
Pはしょぼい根管充填だが、根尖病変がない。
たまたま、口を開けていたのだろうか?
たまたま、ファイルが滅菌されたものだったのか?
それとも、奇跡が起こったのか?
それはわからないが、ここは重要ではないということがわかる。
MB(M)
DB(M)
P(M)
根尖病変があるMB, ファイル破折があるDBに根尖病変が見られた。
この2か所のRoot resectionが必要だろう。
また、MBもDBの頬側にも厚い歯槽骨が存在する。
それぞれの部位を計測すると以下になる。
MB, DB(B)
MB(M)
頬舌的には5mmでそれほど頬舌的に厚みがある根管ではない。
DB(M)
DBも頬側に皮質骨があり、2mm削除すると歯根に到達する。
4mm切断すると完璧な切除が可能である。
ここも難しい根管であるとはいえない。
両方とも、歯槽骨を掘ることが面倒なだけで、それほど難しい処置ではなさそうだ。
ここで重要なことは、病変があるから切断しましょうということではない。
過去の治療内容(ノーラバーダムの保険の根管治療、CBCTでの石灰化根尖部周囲の根尖病変)から鑑みて、外科治療で問題が解決できるかもしれない、が、それは治療を行なってみないと結果が出ない、ということを、術前に説明し、同意を得る必要がある。
患者さんが納得すれば治療だ。
納得できなければ…
私は何もできない。
ここが重要なところだろう。
模型を治療するのではないのだから。
この考え方は、全ての医療従事者へ送りたい考え方だ。
歯内療法学的診断(2022.3.22)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Apicoectomy
ということで、同日治療へ移行した。
☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#3 Apicoectomy(2022.3.22)
当該部位をOsteotomyしてMBのApexを探索した。
Apexを見つけて、Root resectionした。
逆根管形成して、逆根管充填した。
次がDBである。
OsteotomyしてRoot resectionし、メチレンブルーで染色した。
その後、逆根管形成し、逆根管充填した。
PAを撮影した。
さて、ここから約2年が経過した。
このオペ部位はどうなっただろうか?
#3 Apicoectomy 2yr recall(2024.3.4)
歯槽骨はどうなっているだろうか?
上記動画で大きく穴を開けているが、再生している。
そう。
歯内療法外科は歯科医療で唯一、真の再生が図れる治療であるということがわかるだろう。
患者さんは大喜びであった。
もうリコールの必要性はないと思われる。
2年間、お疲れ様でした。