今日から数回にわたり、AAE 2024の模様をご紹介します。
脳出血で倒れる前に最後にUSCへ行ったのが、2017年4月。
あれから7年が経過していた。
私が今回なぜ、ロスまで行ったか?と言えば、
Dr.RogesやDr.Schechter、Dr.Zweig 、Dr.Kallmanといった大学院時代にお世話になったMentor達と会うこと、
大学院時代の同級生と会うこと、
USC時代に卒業前に治療した日本人の患者さん(エンドペリオ病変だった)の8年予後を確認すること、
USCに留学したいと言う先生にUSCをアテンドすること、
であった。
羽田からロスに到着した初日の4/17(水)の18:00~はDr.Kallmanとの会食だった。
大学院時代の同級生(Dr.Lewina, Dr. Jonson)や先輩・後輩(Dr.Jose夫婦, Dr.Tena )も参加していて楽しい会食となった。
会うなりみんなとハグの連続。
これは日本にはない文化だろう。
お前、大丈夫か?
ちゃんと治療できるのか?と一瞬心配してもらったが、その後はみんなでトーク大会。
大学院時代の思い出をお互い話した。
お前は最初は全く喋れなかったけど、酒が飲めると分かってからは楽しかったよな、とか、
そのくせ外科治療のケースが死ぬほど多かったよなとか、
パラタルサージェリーもしたよなとか、
お前は今でもApicoectomyやIntentional Replantationをやっているのか?とか、
そうそうお前は、King of Surgeryだったよなとか、思い出話に花を咲かせた?のである。
そしてこの日の飲み会の終盤に、日本人の先生の気になる質問も彼らにぶつけた。
最もアメリカで多い歯内療法は?→断然、抜髄/壊死歯髄のInitial RCT。成功率はほぼ100%だからだ。
また、再根管治療は成功率が高いもののみを治療している。
ケースセレクションで成功率が低いケースはRe-RCTされない。どういうケースが成功率が高いか?はこのHPに記載の通りだ。
以上が歯内療法のほぼ全てを占める。
またみんなが気になっていたのは、外科治療に対するアプローチ方法だ。
Apicoectomyはするのか?→上顎前歯のみ。または、上顎小臼歯大臼歯もやると言う同級生もいた。
が、共通していたのは下顎の大臼歯のApicoectomyはしないと言う事実である。
頬側の皮質骨をドリルで削るのが怖いという意見や、
止血のコントロールが難しいという意見が大勢を占めていた。
お前は何分でやるのか?と聞かれたが私は通常、縫合を除けば10~15分で終了する。すると同級生がお前はKingだったからな!というツッコミ。
そしてみんなが気にしていたのは、Intentional Replantationだ。
これはするのか?と聞くと、答えは、誰もしないと言うアンサー。
その理由はそんなことをしても長く持たないだろ?、と言う意見が多かった。
が、だ。
TorabinejadのImplantと比べた治療後の生存率の文献(Survival of Intentionally Replanted Teeth and Implant-supported Single Crowns: A Systematic Review)や、このHPのケースの数々を見て貰えば、この治療がそんなに意味のない治療と言えるだろうか?
私にはここにアメリカの歯科治療と、日本が、そして日本人が抱える歯科治療の最大の違いがあると思う。
歯牙を保存したい日本人。が、根尖病変があっても気にしない日本人。そして世界一安い治療費。
に対して、根尖病変は許せないアメリカ人。これは病巣感染説の影響が強いだろう。
なので抜歯かUSCなどのロス1安い歯科医院に行き、根管治療を行う。
このバスの広告のように、Implantは$700で激安価格で行う歯科医院もあるのだ。
もちろん、GPのオフィスだが。
Implantに関して私の意見を述べれば、それは実は6回法である。
1回目にCBCT撮影とカウンセリング。
2回目に埋入。
3回目に2次オペ。
4回目がプロビジョナルレストレーションのset。
5回目が最終補綴の印象。
そして6回目がsetだ。
それをいくらでやるか?だが、たとえば上記のバスの広告のDr.のように激安の$700でやるとしよう。
すると1回あたりの治療費は$700÷6で$117となる。
日本円で言えば、¥17,500だ。
そして管理をしなければインプラント周囲炎になる。
するともはや治療方法はない。
また、周囲炎が進行すると天然歯では起きないアナコレーシスも起きる。
これが理に適った治療と治療費だろうか?
私はそうは思わない。
このようなリスクを最小限に抑えるには、人生の後半でImplantはやるべきなのである。
決して先発して完投はできないのだ。あくまでもクローザーである。
しかし、この治療の有無を決めるのは患者である。
自分がしたい?ことへの誘導はいけないのではないか?と私は今も感じている。
ということで会は終了した。
最後にDr.Kallmanに抱きついて写真を撮影してもらった。
彼はもう80歳以上。
タイミング的にこれが我々の最後の機会だろう。
今は杖をついて歩いていた。
昔はそうではなかったのだが…
このことからわかることは、人は皆、老いる。
あなたも、私も、みんな全員死ぬのだ。
それは避けられない。
であれば人間は、自分のために、そして自分が愛する家族のために生きるべきなのである。あらためてその思いを強くした。
ということで1日目は思い出に浸った日となった。
また明日からは、2日目以降の出来事を記していこう。