紹介患者さんの治療。
主訴は、
左上奥歯で噛めない。柔らかいものでも噛むと痛い…
である。
歯内療法学的検査(2025.5.8)
#12 Cold+1/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#13 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#14 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#15 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴は左上臼歯(#13,14,15)だ。
が、特に#14,15が咬むと強く痛むという。
PA(2025.5.8)
CBCT(2025.5.8)
MB
MBは全く根管形成していないし、根尖病変もある。再根管形成必須だ。
MB2はMB1の近傍にある。
DB
DBは病変がない。
石灰化も進行している。
P
P根にも根尖病変がある。
ここも再根管形成が必要だ。
ということで、PとMBをSelectiveに再根管治療することに決定した。
歯内療法学的診断(2025.5.8)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Re-RCT
☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#15 Re-RCT(2025.5.8)
除冠後、ラバーダムをかけてメタルコアを除去することにした。
歯牙が残っているからだ。
ここから再根管形成していく。
それにはCBCTの分析が必要だ。
P
とすれば、
Gutta Percha Point除去のためのPの仮の作業長は、
21.5mm–(クラウンの厚み)-Apex付近に残存するGutta Percha Point 1mmの長さで、21.5-1.3-1=19mmとなる。
MB, MB2
とすれば、
Gutta Percha Point除去のためのMBの仮の作業長は、
18.7mm-(クラウンの厚み)-Apex付近に残存するGutta Percha Point 1mmの長さで、18.7-1.2-1=16.5mmとなる。
この設定した長さでGutta Percha PointをFileで除去し、作業長を測定し、再根管形成した。
P
K File #20で穿通したので、HyFlex EDM #25.VからReprepを行なった。
MAFは拡大号数はHyFlex #60.02まで、テーパーはProTaper F5まで形成した。
この後、#50.04のGutta Percha Pointで根充した。
MB
作業長が決まったので、HyFlex EDM #25.Vを挿入した。
#60.02まで形成し#50.04のGutta Percha Pointで根充した。
以上の作業を表にすると、以下だ。
術後にPA, CBCTを撮影した。
MB, MB2
MB2は見つけられなかったが、MB2はMB1に合流していることがわかる絵である。
DB
P
問題はないと思われる。
しかし、この次の日に口唇が腫れたと連絡があった。
原因は、支台歯の辺縁隆線が尖っていたからだ。
ここを丸くするとその1週間後には、
頬粘膜のアフタは消失していた。
支台歯の鋭敏な部分はきちんと研磨しとく必要があるということだろう。
またこの治療の結果をお伝えしたい。