紹介患者さんの治療とその6M recall, 1yr recall, Re-RCT, 及びその1yr recall。

今日のテーマは開口がほぼままならない患者さんの根管治療をどのようにして行うか?というテクニック的な話である。

正直、あまり根管治療に興味のない歯科医師・歯科医療スタッフには意味合いの薄い記事であろう。

そして治療自体は初診時から起算すると2yr recallになる。

主訴は、

右下の奥歯が虫歯で神経まで死んでしまっているらしいので治療をお願いしたいです。

である。

Pre-op Endo Test(2024.2.1)

#31 Cold NR/20, Perc.(+), BT(+), Palp.(-), Perio Probe(WNL) Mobility(WNL)

#18 Cold+1/3, Perc.(-), BT(-), Palp.(-), Perio Probe(WNL) Mobility(WNL)

患歯と対合の天然歯を比較している。

患歯は冷刺激に反応しない。

失活の可能性が高いだろう。

PA, CBCTを撮影した。

MB

ML

D

やはり失活しているようだ。

その理由は大雑把に言えば、生活歯髄療法である。

MBはすでに露髄している。ここをどんな材料で封鎖しようと意味はないことは歴史が証明している。

新しい最新のDental Pulpを見たがそこにも同じ記述があった。

この件の詳細は

Basic Course 2026

で説明します。

ともあれ、根尖病変があるInitial RCTの成功率は、

文献的には86%とわかる。

これを治療前に説明して治療へ同日移行した。

Pre-op Endo Dx(2024.2.1)

Pulp Dx: Pulp Necrosis

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: RCT

#31 RCT(2024.3.7)

根管治療を行うが…

MB

ML

D

近心がアンダー形成になった理由は患者さんが開口がほぼできないからだ。

MB,MLに器具が思ったように入っていかない。

この後、6M後に経過観察を行なった。

Post-op 6M recall(2024.9.10)

歯牙に動揺が軽度見られる。

実に嫌な感じだ。

が、臨床症状がない。

PA, CBCTも撮影した。

MB

ML

D

初診時と比較した。

半年という時間は臨床判断を下すには短すぎるのだろう。

この後、治療終了から1yr後に経過を再び見た。

Post-op 1yr recall(2025.3.10)

MB

ML

D

術前と比較した。

臨床症状が出てきており、根尖病変が治癒しておらず、形成がアンダーなMのみ再根管治療すると決めた。

いわゆるSelective Re-treatmentである。

戦略は根管形成が不十分なMBとMLのみ再治療へと移行した。

が、開口がほぼままならないのにどう再根管治療すればいいのだろうか?

そのコツをエンドに興味がある人に今日は教授したい。

ここがこの記事の最大のキモだ。

☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。

#31 Re-RCT@MB,ML(2025.3.10)

SXで上部を拡大しようとするが…

根管口にファイルが入っていかない。。。

そこで某社のファイルのSXに相当するものを使用した。

すると…

根管へ挿入できた。

その後、作業長を再測定し再根管形成したが、

ここからはHyFlex EDMなので容易である。

以下のように形成した。

C+ File#6のテーパーはその先端から4mmまでが5である。

したがって、C+6で穿通したらそれより1mm上が#11である。

0.5mm上部は8.5である。

このままHyFlex EDMを使用していくにはグライドパスをしなければならなくなる。

が、

HyFlex EDM #10.05はしなることのない硬めのファイルだ。

この患者にそれを使用することは事実上使用不可である。

この状況を回避する方法は、実はある。

どうすればいいか?

それはテーパーである。

テーパーを理解しないと手が出せないだろう。

いかに説明しよう。

どうするか?

まず、私はC+#6を数mm Apical Foramenから突き出した。

仮に1mm外に出せばApical Foramenが#11である。

そこから0.5mm上部は#13.5である。

つまりグライドパス用のファイルである#10.05を使用しなくて済む。

この話があなたにわかるだろうか?

非外科的歯内療法で重要な部分である。

テーパーの理解が非外科的歯内療法には必須の知識と言える。

これがわからないといつまで経ってもエンドは医院経営に寄与しないだろう。

どうしても???なあなたは次回、実習時に行ってみましょう。

MB

ML

シーラーパフは起きなかった。。。

しかしそれが臨床的に問題に特にならないことはよく知られている。

ここから1年が経過した。

根管治療から2年経過している。

#31 Re-RCT 1yr recall(2026.5.15)

MB

ML

D

初診時からを比較した。

ということで全ての問題が消失し経過観察も終診とさせていただいた。

長い間、お疲れ様でした。

さておきこのケースから学べることは、開口がままならない患者さんの根管治療は非常にハードということだ。

まさに甘く見るとやられる治療といえよう。

そしてRe FileのCXやHyFlex EDMのような柔軟性が極めて高いNi-Ti Fileがなければこのようなケースでは治療は不可能といえよう。

そして今日のブログは、

SXやCXを挿入するためには何が臨床的に必要か?

そして穿通したファイルの種類によってHyFlex EDMをどのような手順で使用するか?そのためにはテーパーに対する理解が必須である!

ということについての記事であった。

Basic Course 2026の参加者の方には響く?記事だったかもしれない。

出てない人には興味のかけらもない話ですいませんでした。

ということで、今日は開口がままならない患者さんの臨床ケースの対応の方法と臨床のコツの話でした。