紹介患者さんの治療。

主訴は、

虫歯治療した前歯が腫れて痛かった。神経まで虫歯が入っているのだろうか?

である。

歯内療法学的検査(2024.8.8)

#10 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

OPG(2024.8.8)

CBCT(2024.8.8)

神経まで虫歯が入っているどころか、すでに抜髄・根管充填されている。

が、ノーラバーダムでSSハンドファイルで治療したがために根管形成・根管充填が変異している。

これを元の根管の走行に戻すのは不可能だ。

そして、根尖部には根尖病変と多くの側枝が存在している。

ということは…

Apicoectomy一択だ。

その際は、

#10の頬側に皮質骨があること、

上顎前歯の麻酔は奏功時間が極めて短いかいこと

から、

Submarginal Flapで行うことにした。

瘢痕形成に関しては術前に同意を得ている。

またApexは#10のCEJより11mm下方に位置することがわかる。

そこを3mm切断するには3.9mmの切断幅で済む。

非常にEasyなApicoectomyだ。

短時間で終了するだろう。

歯内療法法学的診断(2024.8.8)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy

ということで、同日治療が行われた。

⭐︎この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#10 Apicoectomy(2024.8.8)

Apexを触知し、OsteotomyしてからRoot Resectionした。

逆根管形成した。

逆根管充填した。

術後にPA, CBCTを撮影した。

問題ないだろう。

時間を計測すると、10分で終了した。

最後に縫合して終了した。

10糸縫合している。

さて、ここから1年が経過した。

#10 Apicoectomy 1yr recall(2025.8.8)

粘膜寄りに切開してしまったため、瘢痕が若干目につく。

もう少し、切開の位置を歯頸部に近くすべきだった

だろう。という個人的な反省点?はあるものの、患者さんはそれを意に介していなかった。

なぜか?

痛みが消失したからだ。

初診時と比較した。

骨の開創部分は完治した。

症状もないことから経過観察も終診とさせていただいた。

長い間、お疲れ様でした。