紹介患者さんの治療。
主訴は、
歯の神経が死んで神経の治療が必要だと言われた…
である。
歯内療法学的検査(2025.9.9)
#28 Cold+1/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#29 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#30 Cold+1/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#29はCold testに反応しない。失活が予想される。
PA(2025.9.9)
#29の根尖部に病変のようなものが見える。
やはり失活しているだろう。
CTも撮影した。
CBCT(2025.9.9)
#29の中心結節が破折して歯牙が失活している。
根管治療が必要だ。
成功率は90%である。
その際は、
作業長は21.5mmと予測でき、中心結節に沿ってチャンバーオープンすれば問題(穿孔)は避けられるだろう。
歯内療法学的診断(2025.9.9)
Pulp Dx: Pulp Necrosis
Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: RCT+Core build up
同日、治療へ移行した。
☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#29 RCT(2025.9.9)
#15 K Fileで穿通した。
HyFlex EDM #25.V→#40.04まで形成して根充前に根管内を乾燥させるのだが…
3度ペーパーポイントで清拭しても出血が見られる。
そこでわたしはMAFを#60.02にサイズアップした。
#40.04→#60.02までサイズアップした理由は#40.04で形成して#40ペーパーポイントで根管を乾燥した時に血液が付着したからだ。
それで、一度痛い目にあっているからだ↓
この歯で痛い目に遭うと、
Apicoectomyは無理である。Intentional Replantationだ。
それをこの患者さんに強いることは医療倫理的によろしくないだろう。
何せ患者さんは20代女性である。
ということで、ここはサイズアップを意思決定した。
すると…
出血はなくなった。これで炎症は除去できて、治療結果に問題は出にくいと思われる。
#60.02まで形成したが、根管形成に使用しているNi-Ti Fileや, 根管充填に用いるGutta Percha Pointのサイズ・テーパーには誤差があるので試適でどれが適しているか?判定した。
この歯の場合は#35.04で問題ないと思われる。BC sealerとともにSingle Pointで根管充填した。
術後にPA, CBCTを撮影した。
問題はないだろう。
補綴治療も1級窩洞なので不要と思われる。
次回は1年後である。
またこの治療の予後をお伝えしたい。