紹介患者さんの治療。

主訴は、

補綴治療で神経の除去が必要なのでお願いしたい

である。

いわゆる便宜抜髄だ。

歯内療法学的検査(2025.7.17)

#26 Cold+1/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#27 Cold+3/5, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#28 Cold+4/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

PA(2025.7.17)

全顎治療で補綴が前歯にも必要なので抜髄の依頼である。

が、犬歯は長い。

小臼歯(#28)も2根管性だ。

CBCT(2025.7.17)

#27

犬歯であるので歯牙が長い…切端からApexまでが28.5mmもある。

この事実はHyFlex EDMが使用できないという現実を臨床家に叩きつけるものだ。

なぜならHyFlex EDMは長いものでも全長は最大25mmである。

このことからもHyFlexEDMでは根管形成ができないことがわかる。

では、Reference Pointを上図の絵のように別の部位に設定するのか?という話であるが、これは事実上無理だ。

無理な理由は後述しよう。

#28

#28は2根管が合流している。

下顎の小臼歯が全ての歯根の中で最も複雑な形態をしていることは有名な話だが、CBCTがあればそれを事前に予測し、どちらをメイン根管にするか?も事前予測することができる。

もはやそれはなくてはならないものだろう。

#28は遠心根管をメイン根管にした。

歯内療法学的診断(2025.7.17)

Pulp Dx: Normal Pulp Tissues

Periapical Dx: Normal apical tissues

Recommended Tx: RCT

さて、長い歯の根管形成は以下のように考える。

⭐︎歯根の長い歯の根管形成方法

1. 歯牙を切削して長さを短くする

2. それが許されない環境であれば、ヨシダのRE Fileを使用して根管形成する

多くの場合1で事足るが、当歯科医院のように歯内療法だけ依頼されている歯科医院であれば、2になるだろう。

修復治療をしない当歯科医院が勝手な歯牙の切削は許されないからだ。

その際は以下のように番手を組み合わせる。

⭐︎ヨシダ RE Fileでの長い歯根に対する根管形成方法

1. ProTaper SXで根管上部形成(コロナルフレア形成)

2. K Fileで穿通させる→作業長決定

3. RE File(RE File VT A2→RE File CT #40.04→RE File CT #60.02)で根管形成・根管充填

上記の順に形成したかったが、この日は当歯科医院にそれがないという。。。

失態だ。

以下のようなしょっぱい根管充填になってしまった。。。

これは専門医としてはあり得ない。

そこでかかりつけ医の先生には、歯冠形成してもらい根管治療をやり直すと伝えた。

それが間に合わなければヨシダのRE Fileで再根管形成する予定となった。

この後、2回目のやり直し治療をした。

#27 RCT(2025.8.1)

#27

#28

M

D

問題はないだろう。

ということで、今日は臨床上のコツでした。