紹介患者さんの治療。
主訴は、
セラミックで被せた右上の前歯の歯茎が腫れて疼く。その他の前歯もどこも痛くて, 他院では治療はできない、抜歯と言われたが抜きたくない…
である。
Pre-op Endo Test(2026.1.21)

#6 Cold+1/3, Perc.(-), BT(-), Palp.(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#7 Cold N/A, Perc.(-), BT(-), Palp.(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#8 Cold N/A, Perc.(-), BT(+), Palp.(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#9 Cold N/A, Perc.(+), BT(+), Palp.(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#10 Cold N/A, Perc.(-), BT(-), Palp.(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#11 Cold N/A, Perc.(-), BT(-), Palp.(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
補綴がなされている#7,8,9,10,11全てに痛みがある。

また、
#10は既に他院でApicoectomyを行っていた。
歯茎の傷痕をみるとおそらくこの術者はSemi-lunar FlapでApicoectomyを行ったのだろうという形跡が見えた。
この切開の方法でApicoectomyを行うことは、今はない。


患者さんは補綴を装着したばかりなのでそれをなるべくは外さないで治療できる歯科医院を探していたという。
で、ネットでうちを見つけてかかりつけ医に紹介状を書いてもらいこの日の来院となった。
CBCTも撮影した。
#7

#8

#9

#10

#11


#10はかつて誰かがApicoectomyをしているがこの処置から垣間見れることは、
術者は問題を
根尖病巣だと思っているに違いない
ということだ。
なので根尖部をカットだけして終わっている。
そのやり方だと成功率がどうなるか?文献は以下のような数字を提示している。


が、間違ってはいけない。
この痛みの原因は、根尖病巣でなく、歯牙の側枝の中に入り込んだバクテリアである。
古典文献にそのパーセンテージが記載されている。
De Deus 1975 Frequency, location, and direction of the lateral, secondary, and accessory canals
わかりやすく提示すると以下だ。
この側枝の中に入り込んだ細菌が問題を引き起こしている。
また、この絵からわかることはApicoectomyの際は基本的に根尖部3mmを切断すればいいということである。
さすれば、1本の歯牙から60%の側枝が消滅する。
すると、細菌数が低下し、人の免疫力が上回るはずである。
なぜ、“はず”なのか?
それは、個人間で免疫力も違えば、口腔内にいる細菌の種類も違うからである。
毒性が強い菌を多く持ち、個人の免疫力が弱ければ治癒は不全する。
あらためて、この話↓を実感せずにはいられない。
Siqueria 2008 Clinical implications and microbiology of bacterial persistence after treatment procedures

が、それでもApicoectomyの成功率は90%あると言われている。
それは私がいうのでなく、多くの歯内療法の文献でそう語られているのである。

以上を術前に説明した。
また、これだけ前歯の外科の本数が多い場合、何回に分けないのか?という質問が勉強会やセミナーで出ることがある
が、
私は分けない。全ての歯を1度で処置する。
その心は…
患者は何回も歯茎を切られて外科などやられたくないからだ。
ただでさえ行きたくない歯科医院に通い、問題を修正するのになぜ何度も通院させるのだろうか?
それができなければ、できる人に紹介すればいい話である。
さて。
では、どのようにしてApicoectomyを行うのだろうか?
これもCBCTの分析だ。
#7

#8

#9

#10

反対側同名歯の#7のCEJからApexの長さが12.5mmであることからこの歯はApexから1.5mm程度の切断で済ますことにした。
必ずしもいつも3mm切断する必要はないという話はこのHPでも何度も語ってきた通りである。
#11

本数は多いが難しくない歯ばかりである。
ということで別日に外科治療へ移行した。
この続きはまた後日。
