今日の記事は、

非外科的歯内療法の何たるか?を示す記事

である。

歯内療法に興味がある方はぜひご一読を。


紹介患者さんの治療。

主訴は、

2025年7月に歯の神経の治療を開始したが、その部分の歯で噛めない。噛み締めると痛みが強い…

である。

ちなみに、紹介先の先生の主訴?は、

ラバーダム下で#40まで拡大したのに患者さんが歯が痛いと言っている。。。なぜなのだろうか?

である。

難治性になりかねない、嫌な感じだ。

Pre-op Endo test(2025.11.26)

拡大された形跡はあるが、根管の中が空なのか?水酸化カルシウムで満たされているのか?は分からない。

満たされていなければ、少々面倒くさいことになる。

Pre-op Endo Diagnosis(2025.11.26)

Pulp Dx: Previously initiated therapy

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Re-RCT

さて。

なぜラバーダム下で根管治療して痛みが出たのであろうか?

理由は複数考えられる。

☆ラバーダム下で根管治療して痛みが出る理由

1. 根管形成後の根管の内部が “空” であった可能性

これが2回法以上で歯内療法を行う上での最大の問題点であろう。

Bystrom 1981 Bacteriologic evaluation of the efficacy of mechanical root canal instrumentation in endodontic therapy

によれば、

根管の内部を空にするとバクテリアが増えるのである。

それを抑えるには水酸化カルシウムで貼薬しなければならない。

が、

適切に水酸化カルシウムで貼薬している臨床家を私はほとんど知らない

のである。

どうすることが、

適切に

水酸化カルシウムを貼薬することなのだろうか?

それは

1回法で歯内療法を終われない臨床家なら必須の知識であろう。

この話は7/19の

Basic Course 2026

の第4回で説明する。

参加者の先生はよく記憶・理解しましょう。

そして知らない方、知りたい方は来年度のBasic Course 2027かマンツーマンコースでお待ちしています。

しかし実際問題、このように根管を隙間なく?水酸化カルシウムで充填することは

非常に面倒臭い気がする

のは私だけだろうか?

それなら、さっさと根管充填して1回で治療を終わらせろよ、とUSCのEndoのFacultyが言いたくなる気持ちがよくわかるのは私だけだろうか?

2. 拡大形成不足

#40では拡大が不足していた可能性がある。

その際は、拡大号数を上げなければならない。

が、それができるかどうか?は実際に治療をしてみないと分からない。

そして#40⇨#60まで拡大するとどれほど根管のサイズが上がるだろうか?

細菌除去や洗浄液の到達性に関係するのは断面積なので、

より、

根尖部の接触面積は約2.25倍になっている。

歯内療法的には、

#40→#60は “20番上げただけ” ではなく、根尖部断面積を2.25倍にするかなり大きな変更が起きたことになる。

これも

Basic Course 2026

の第2回で説明済みである。

3. 作業長の設定ミス

非外科的歯内療法の作業長は電気的根管長測定器で測定することが我々の業界では決まっている。

その際、

Working Length=Apical Foramen-0.5/1.0mm

で行うのだが、

USCでは(というより米国ではだろう)どんなケースでもWorking Length=Apical Foramen-0.5

であった。

が、文献的には

Chugal 2003 Endodontic infection: some biologic and treatment factors associated with outcome

によれば、

抜髄根管治療の場合は

Working Length=Apical Foramen-1.0

で、

感染根管治療の場合は

Working Length=Apical Foramen-0.5

で行うと

治療の予後がいい

ということがわかっている。

この話も

Basic Course 2026

の第5回(8/23)で扱うので受講者の先生はお楽しみに。

このケースは再根管治療のケースであるので文献的にも

Working Length=Apical Foramen-0.5

である

ことがわかる。

以上の知識を背景にそれをどう治療へ反映させるか?を今日は解説したい。

☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#29 RCT(2025.11.26)

穿通したFileはF#30である。

太い。。。

#40.04を根管内部に挿入するが、

形成もできずラバーストップがReference Pointにタッチした。

#60.02を使用した。すると…

これだけの形成量で術後の違和感が取れるだろうか?

私には不安である。

そこで、ProTaper GoldのF5を使用してテーパーを増やして形成量を増すことにした。

この2つの形成量で抜髄後の打診痛反応が取れるだろうか?

それを決めるのは、神様が決めることである。

我々には決められない。

文献でもそのことが述べられている。

Siqueira 2008 Clinical implications and microbiology of bacterial persistence after treatment procedures

痛みが取れなければ…Apicoectomyだ。

以上の作業内容を表にすると以下である。

術後にPA, CBCTを撮影した。

ここから半年が経過した。

#29 Post-op 6M recall(2026.6.19)

初診時の打診痛は消失した。

根尖病変はできていない。

臨床症状もないことから最終補綴へ移行するようにかかりつけ医の先生にはお伝えした。

当歯科医院の経過観察も終診である。

長い間、お疲れ様でした。