紹介患者さんの治療とその経過観察。

主訴は、

他院で歯が折れているので抜歯と言われたが保存したい。

である。

まさにこの業界でよくある話だ。

が、今日のBlogの内容は本来はペリオ専門医の仕事であろう。

Pre-op Endo test(2025.6.30)

ペリオがD根には進んでいるような印象を与える。

MB

ML

D

この術前の臨床検査と画像検査から推測できることは、

歯周病と歯根破折である。

この二つの背景から通常は抜歯である。

が、

神戸から来られている患者さんなので歯牙の保存の要望が高い。

確かに歯牙を直視しなければその真実はわからないので、患者さんの要望に従い、治療となった。

その治療方法は、

Intentional Replantation

である。

これで白黒つけることとなった。

ただ、遠心根は深い歯周ポケットがあるため、歯周病所見があれば抜歯し、近心根のみを使用することとした。

それを小臼歯的に使用すればまだこの遠方の患者さんの保存願望を満たせるからだ。

このような治療に意味があるのか?といえば、参考文献は以下だ。

Setzer 2019 Outcome of Crown and Root Resection: A Systematic Review and Meta-analysis of the Literature

が、この研究では、

第2大臼歯の症例数は報告されておらず、

歯種別の内訳は不明であるし、

ヘミセクション、トライセクション、プレモラリゼーションをまとめた生存率が

81.9%

である。

ヘミセクション単独の数字ではない。

が、現時点で歯冠切除術(Crown and Root Resection)の予後をまとめたシステマティックレビューであることから、患者さんへの説明にはこの文献を引用し、上記の限界(第2大臼歯の内訳不明、ヘミセクション単独の成績ではないこと)も含めて説明したうえで同意を得て治療へ移行した。

Pre-op Endo Diagnosis(2025.6.30)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Intentional Replantation

☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。

#31 Intentional Replantation(2025.6.30)

抜歯後に歯牙を精査した。

破折所見はないが、多くの縁下歯石が付着している遠心根を保存しようと思えば、まずエンドの治療からしなければならない。この処置を遠心根にも行って1年後に明るい未来が見えるだろうか?私は見えないと判断した。

その心は?

重度の歯周病は治癒しないからだ。

仮にエンドが治癒して、このように歯根の根尖側に多く付着した歯石をどうやって除去するのだろうか?私にはその方法も思い当たらない。

ということで、私は#31を分割し、遠心根は諦めて、近心根だけ保存することにした。

いわゆるヘミセクションを口腔外で行うことにした。その際には、支台築造されているレジンを除去し、支台築造をやりなおした。

ここからApicoectomyへ移行する。

PAを撮影した。

問題はないだろう。

抜歯窩へ再植した。

その際、動揺が大きかったのでSuper BondでT-Fixした。

術後にPA, CBCTも撮影した。

ここから時間が1年経過した。

#31 Intentional Replantation 1yr recall(2026.6.30)

1年前は動揺が大きかったが、正常の範囲内にあるし、Sinus tractも消失している。

アンキローシス所見もない。

1年前と比較した。

遠心根は犠牲になったが、近心根は保存ができた。

かかりつけ医の先生には最終補綴を依頼した。

が、第2大臼歯・ヘミセクション単独の生存率は文献上明らかではないことから, さらに1年後、また見せてもらうことにした。

またその結果をお伝えしたい。