今日は、Intentional Replantationは万能ではない例を紹介させてもらおうと思う。
紹介患者さんの治療。
主訴は、
他院で左上の奥歯を抜歯してインプラントを勧められたが、抜歯しないで歯の保存はできないだろうか…インプラントは入れたくない。。。
である。
Pre-op Endo test(2026.4.13)


MB

DB

P

MB,DBの根尖部に病変がある。
そして、DBは3mm Root resectionしようとするとPまで切断してしまうことになる。
口蓋根への影響が避けられない。
そこで、通常のApicoectomyでは予知性が低いと判断し、Intentional Replantationを第一選択として検討した。
また、

遠心には縁下カリエスと思しき虫歯が見られる。
除冠して、除ポストコアして、虫歯を取らなければ、Intentional Replantationができるかどうか?がわからないケースである。
その心は?
脱臼ができないので抜歯が難しいからだ。
私は、Intentional Replantationの適応症は、
歯質が十二分に残存していること=脱臼させても問題を生じない
ことだと考えている。
そして、脱臼させて抜歯するためには、
根尖病変がないと抜けない。
根尖病変は骨空洞なのでこのケースでも抜歯すれば脱臼できる余地はあるのである。
が、
健全な歯質が十二分に残存していないとそれは難しいだろう。
以前の似たようなケースは歯質があったので抜歯が可能であった。
過去1回根管治療を、過去3回再根管治療をしているが、状態が改善しない… #14 Intentional Replantation
過去1回根管治療を、過去3回再根管治療をしているが、状態が改善しない… #14 Intentional Replantation 1M recall
過去1回根管治療を、過去3回再根管治療をしているが、状態が改善しない… #14 Intentional Replantation 8M recall
過去1回根管治療を、過去3回再根管治療をしているが、状態が改善しない… 〜#14 Intentional Replantation 1.9yr recall
このケースはどうだろうか?
上記と同じようにいくだろうか?
別日に治療へ移行した。
#14 Intentional Replantation(2026.6.1)
メタルポストコアを除去すると、歯牙の遠心には縁下に及ぶカリエスが見える。
そこを除去し、う蝕検知液でCheckした。
健全歯質が歯肉縁上にあまりない。
脱臼させてIntentional Replantationを行うが…
レジンコアごと脱離してしまう。
そこで、ファイバーポストを立ててレジンを補強して再度築造し、再びIntentional Replantationを行うが…
またしてもファイバーポストごと脱離してしまう。
水酸化カルシウムを置いてキャビトンで仮封してPAを撮影した。

Intentional Replantationを行うことはできなかった。
もしどうしても保存したい!と思うなら、
①矯正的挺出
②クラウンレングスニング
③支台築造
④Intentional Replantation
を行わなければならない。
治療に、時間と費用が大幅にかかってしまう。
さておき、このケースから学べることとして、
歯質が十二分に残存していること
根尖病変が大きく存在すること
は
Intentional Replantationの適応症を見極める上で非常に重要である
ということだ。
Intentional Replantationは抜歯予定歯を保存できる強力な選択肢である。
しかし、すべての症例に適応できるわけではない。
本症例から学べることは、術式そのものよりも「適応症の見極め」が予後を左右するという事実である。
特に健全歯質の残存量は成功の前提条件であり、その評価を誤ると処置そのものが成立しない可能性がある。
今日は、教育的な?ケースをもとに、Intentional Replantationの限界を解説した。
歯科医師の方は、参考に?してみてください。