昨日の記事と同じ患者さんの処置がその6ヶ月前に実はあった。

歯周疾患をもつ歯の治療の “生存” 率は?〜#31 Hemisection+Intentional Replantationとその1yr recall

この記事が実は、

私が遠心根にペリオ所見があった場合には抜根する

という意思決定をもたらした記事である。

全国の?歯に苦しむ患者さん。

こういう場合は保存ができませんよ、という今日は記事である。

ちなみに患者さんは、

神戸から福岡まで来られており,

折れていても, 歯周病であっても, 何とか保存して欲しい

という保存願望が極めて強い患者さんであった。

今日は昨日とは違う結末と、

なぜ私が重度歯周病であれば抜歯という臨床哲学に至ったか?を述べたい。

Pre-op Endo test(2025.1.7)

臨床症状は何もない。

このことが、

なぜ抜かないといけないのか?

という患者さんの主訴に反旗を翻している最大の原因だろう。

PAでも然り、だ。

CBCTを撮影した。

MB

MBは既にトランスポーテーションしている。

修正不能である。

DB

DBは根管充填がUnderextensionであるので再根管治療!となるかもしれないが、MBの存在がそれを妨げている。

P

Pは重度の歯周病か、歯根破折を疑わせる所見だ。

B

P

Bはまだしも、Pは既に周囲に歯槽骨がない。

これが示すことは、P根は歯周病か歯根破折が既に起きているということになるのだが、

保存願望が極めて強い患者さん

なのでその扱いに困る。

Pre-op Endo Diagnosis(2025.1.7)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Intentional Replantation

同日、治療へ移行した。

Pは破折しているだろうか?

☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。

#15 Intentional Replantation(2025.1.7)

3根でも脱臼すれば容易に抜歯できる。

臨床上の知恵だろう。

歯根を観察すると…

P根の根尖部に歯石が見られた。

これを患者さんに見せて、P根は重度歯周病なのでこの歯は残すのは難しいだろう…という話をすると、

痛くも何ともないので、残せないですか?

と懇願されたので、このままIntentional Replantationを継続した。

MB

DB

P

ここから約半年時間を置くことになるが…

#15 Intentional Replantation 6M recall(2025.6.30)

MB

DB

P

MB,DBはよく治癒しているが、Pには何も起きていない。

それどころか、歯周ポケットが5mmできていた。

が、患者さんは保存を希望したたためここからさらに時間をおいた。

#15 Intentional Replantation 1.5yr recall(2026.6.30)

歯周ポケットが消滅している。

MB

DB

P

B

P

初診時と比較した。

MB,DBはよく治癒しているが、Pには何も起きていない。

私は患者さんに治療の結果を説明し、

P根を抜根するか?このまま補綴するか?の二択だが、その是非は患者さんとかかりつけ医で決めてほしいと告げた。

MB,DBはうまくいっているものの、上顎のP根だけ抜歯するとなるとまた、外科治療だ。

そしてその後にMB,DBのみを支台歯にする補綴が長く持つだろうか?

では、このような状態で何か問題があるのか?といえば、歯周病がP根からB方向へ進展することがあるのだろうか?

私はそのような話を聞いたことがない。

しかし、この治療の結果こそが、昨日の記事における#31 D根を抜歯した理由に寄与しているのである。

重度歯周病は治癒しないのである。

患者の希望を尊重して保存を試みることは重要である。

しかし、生物学的限界を超えることはできない。

本症例は、歯内療法で改善する病変と歯周病変は本質的に異なることを改めて示した症例であった。

しかし、私は思う。

歯科医療とは何なのだろうか?と。

ここまで誠意を尽くして治療してもそれは患者さんの願望・希望の前には儚く消えていくのである。

あなたはどう考えますか?

どう患者さんに説明していきますか?

そして、どう行動しますか?