昨日の治療の経過観察。
治療から4ヶ月経過したが、かかりつけ医の先生から、
治療した患者さんの歯茎が腫れてものが噛めないと言われたので見てほしい
という連絡があった。
Post-op 4M recall(2026.5.28)

オープンバイトということもあるが、術前より歯周ポケットが深く広くなり、動揺度が+1みられた。
麻酔して#25.04のGutta Percha Pointを使用してSinus tractをTraceした。
その後、PAとCBCTを撮影する。


Gutta Percha Pointは発見できなかったMB2の方向でなく、Pの根尖部へ向かっていた。
もし根尖へ到達するならエンド由来がかなり優勢であることがわかる。
が、これがもし根面中央で止まるならVRFがかなり怪しくなる。
やはり歯内療法が上手くいっていないのだろうか?
見つけられなかったMB2が原因なのだろうか?
CBCTも撮影した。
なお、この際は、Gutta Percha PointをSinus tractに挿入したままで撮影している。
MB

DB

P




Gutta Percha PointはApexの方向へ走行していることがわかる。
破折の可能性はこの時点で低いだろうということがわかる。
B

4ヶ月前の根管治療時と比較した。

術前よりも頬側の皮質骨が大きく吸収され、それに伴い?歯周ポケットも深さとその大きさを増しているのがわかる。
この状態であなたはどうするだろうか?
抜歯だろうか?
そして、その後、GBRだろうか?
その後、Implantだろうか?
この日の検査で明らかになった重要事項は、
頬側にSinus tractができたこと
である。
文献的にSinus tractはエンド由来でペリオ由来でない
という2点だ。
ただ、VRFの可能性もあるため、Intentional Replantationで白黒をつけることになった。
この日、治療へ移行する。
Pre-op Endo Diagnosis(2026.5.28)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Chronic apical abscess
Recommended Tx: Intentional Replantation
⭐︎この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#15 Intentional Replantation(2026.5.28)
抜歯は容易に行えた。
頬側の皮質骨がないからだ。
頬側-口蓋方向にダイヤモンド鉗子を動かすと容易に抜歯できた。
ここから歯牙の観察に移行する。
明らかなVRFを示す所見は確認できなかった。
メチレンブルー染色してVRFを示すような根面から根管へ向かう細い線状の染色ラインも見えない。
根切後にMB-P間のイスムス発見・追跡のためにLight testするが、その際に光の伝播が途中で途切れたり、クラックラインが黒い線として見えることもなかった。
この時点でVRFはないだろうとわかる。
逆根管形成した。
このMB-Pを穿孔させずにRetroprepし、窩底までの深さを3mm最低限確保するのは至難の技である。
が、それを可能にする道具があればそれは可能だ。
術中それを3回交換している。
バーのダイヤモンドがなくなり錆びたからだ。
錆びた窩洞は気持ちが悪い?ので、バーのサイズをワンサイズあげて除去している。
では、その道具とは?
詳細は、
Advanced Course 2026
の第2回で解説する予定です。
また、Retroprep中の所見も明瞭な破折線も無く、Retroprep中に亀裂が連続して見える様子
や根面から根管へ伸びる染色ラインも見えない。
恐らく破折はないのだろう。
逆根管充填した。
Retrofillの段階でも根尖切除面は比較的きれいで破折を疑わせる初見はない。
PAを撮影した。


問題はなさげである。
歯頸部の歯石をスケーラーで除去し、アンキローシスの予防のため、抜歯窩を生食で洗浄し再植した。歯牙の動揺が大きかったのでSuper BondでT-Fixした。
対合歯に咬合させないように咬合調整も口腔外で行っている。
術後にPA, CBCTを撮影した。


MB

DB

P

次回1ヶ月後に動揺度をCheckする。
その際に、
Sinus tractが消失し、
動揺度が減少し、
歯周ポケットも頬側中央10 mm, 頬側遠心部8mmが 浅くなってくれれば、
術前の深い歯周ポケットは根尖病変由来の
ドレイニングトラクト
だった可能性が高くなるだろう。
私の予測は当たるだろうか?
1ヶ月後にCheckした。
#15 Intentional Replantation 1M recall(2026.6.30)

術後の固定のためにつけたSuper Bondを除去しても、動揺度もかなり安定している。ほぼ正常に近い感じだ。
Sinus tractも消失していることがわかる。
歯周ポケットも浅くなっていることがわかる。
私の術前の予想は正しかったのだろう。
かかりつけ医の先生にはプロビジョナルレストレーションの装着を依頼した。
さて。
このケースは、
エンドーペリオ病変を理解するのに最適なケースであるということがわかるだろう。
Advanced Course 2026
に参加している先生、このケースから学べることは多いと思います。
次回は半年後の経過観察だ。
またその模様をお伝えしたい。
