USC時代の症例である。右下6に痛みがあり、歯科治療恐怖症で治療中も常にipodを大音量で聞いている女性だった。
RCTとなったが、このケースでは私はML,MB, Dともに穿通させなければならない。
根尖病変があるからだ。
しかし、私の拙い技術ではM根の根管が見つからなかった。
その後二人のFaculty(歯科医師、いわゆる指導医)のヘルプを仰いだが無理だった…
結局痛みは取れず、私は外科治療を行うことになったがそれで本当にいいのだろうか??このような治療に対して示唆を与えてくれる論文がある。
Jonasson 2017である。この研究は実際の人で行われている。補綴を敢えて外さずに外科的歯内療法を行い、その2年予後を見たものである。
成功率は90%であった。
これはApicoectomyの予後と一致する。
つまりここから何が言えるか?だが、
短期的な予後であれば根管治療をせずに外科治療で根尖病変をマネージメントできる
という意味である。
ということで私は外科治療を提案し、行なった。
さて、この1年後この患者はどうなっていただろうか??
根尖病変は消失している。という事でメデタク?この患者のマネージメントができたということになる。
今でも覚えているが、この患者は外科治療前に鎮静剤を服用してきていた。治療中もipodは離せない。音楽大音量であった。帰りは家族に車で迎えにきてもらっていたのが記憶にある。ということで、根管が石灰化したPreviously Treated, Previously Initiated Therapyで重要なことは根尖病変があるのか?ないのか?ということである。
そして、その根管がマネージメントできなくても根尖病変がなければ予後にはそれほど影響を与えない。
もし、根尖病変があるのであれば外科治療へ進む可能性が高い、ということになる。
歯内療法は治療前の戦略の立案でほとんど全てが決まってしまう。他の歯科医療にはない醍醐味がそこにあると言えるだろう。
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