長期間にわたる経過観察の結果を今日は報告したい。
患者さんは以前の歯科医院で治療していた男性で私が留学前に治療している。
その時に資料を見せていただいた。
2013.4.2に治療している。
今から約8年前だ。
その時は私はまだ、GPであった。
留学も決まる前だろう。
USCに合格したのは2013.8だから合格4ヶ月前である。
懐かしい…
それはさておきこの患者さんの当時の状況は以下のようになる。
歯内療法学的検査
#30 Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#31 Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
PAは以下になる。
この時撮影していただいたCBCTも残っている。
歯槽骨が全くない。
いつの間にか破折が進行していたのであろう。
絶望的な歯槽骨の喪失量だ…
歯内療法学的病名は以下になる。
#31 Pulp Dx: Previously treated, Periapical Dx: Chronic apical abscess
この状況で私ができることは、Intentional Replantationしかない。
再根管治療を2013.4.2に行なっているからだ。
患者さんは治療内容に同意されて、Intentional Replantationが行われた。
しかしながら…近心根は破折していたので、遠心根しか残らなかった。
根切すると残存歯質量が大きく減少するため、根切+逆根管形成+逆根管充填はせずに抜歯窩へと戻した。
2017.4.10のことである。
この後は…不安定な状況がしばらく続いた。
歯牙の動揺もあったし、痛みも残っていた。
もうダメかもしれない…お互いが幾度もそれを覚悟しただろう。
しかしながら私は倒れてこの患者さんがどうなったか?診ることができなくなってしまっていたが、今回連絡すると患者さんは今は神戸に在住しているのであるが、経過観察に容易に応じていただけた。
あれから約5年。
Intentional Replantationした歯はどうなっただろうか???
以下が結果である。
口腔内検査もした。(マイムービーをクリックしてください。)
このように動揺度も歯周ポケットも正常範囲内に収まっている。
約5年経過して治療は成功したのだ。
本当によかった。
長い戦いであったが、時間をかけて様子を見れば治癒していくこともあるということを知らされたケースであった。