外部の歯科医院からの紹介の患者さん。

主訴は圧痛、咬合痛があるであった。

若い女性である。

紹介元からは、

”患歯はポケットもnormalで保存治療より患者さんは外科治療を希望 ”

であった。

治療前にCBCTのスポット情報をいただいていた。

以下である。

歯頸部からからApexまでは11mmあった。

Apexから下顎孔までは8mm以上もある。

ということは?

下歯槽神経を切断するような事故は起こり得ない

ということがわかる。

そもそもApexから8mmも切断できるのであればしてもらいたい。

どうやって、歯根の長さを測定するのであっただろうか?

以下の写真を思い出していただきたい。

絶対に無理であるということがわかるだろう。

そんなことにエビデンスは不要なのだ。

外科治療にはエビデンスはほとんどない。

大概がex vivoである。

でなければ、

私がこんなにたくさんの症例をなぜApicoectomyするのであろうか?

という理由がわかるだろう。

そんなに重いエビデンスはないのだ。

歯内療法学的検査を行った。

#18 Cold+3/6, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#19 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#20 Cold+10/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下になる。

MM根を見つけて根管充填しているが、前医はラバーダムをしていない。

したがってそれを見つけようが、形成しようが、根管充填しようが、問題である。

歯内療法の原則を守っていないからだ。

また、この日の見学者の一人から、

”破折しているのではないだろうか?”

という質問があったが、それはこの段階ではわからない。

が、私はそれはないだろうと思っている。

なぜか?と言えば、上記のCBCTの情報からそう考える。

明らかに割れているであろういう、特徴的なレントゲン像(J-shapedなど)がないからである。

歯内療法学的診断は以下である。

Pulp Dx:Previously Treated

Periapical Dx:Symptomatic Apical Periodontitis

Recommended Tx:Apicoectomy

紹介者の依頼通り、Apicoectomyを行うことになった。

この方の付き添いの方から、

かかる時間は?と聞かれたので、

1時間くらいだろう

と答えた。

#19の治療であること、口角が硬いことから縦切開は#22(左下犬歯)の近心に入れている。

パピラベースで切開してフラップを反転させた。

根尖部を長めに切断した。

逆根管形成した。

Stropko Irrigatorで窩洞内を乾燥し、Lid Techniqueで逆根管充填した。

Lid Techniqueになってから、止血の材料をほぼ使用しなくなった。

ということは、Apicoectomyのスピードが早まったということになる。

これは、この治療分野にとってまさに革命的な医療と言える。

また、Lid Techniqueのもう一つの利点は骨窩洞を大きくしないでいいということである。

専用のニードルで逆根管充填するので大きく骨窩洞を開ける必要がない。

とすれば、治癒のスピードが速くなる。

これはMTAセメントの時代にはなかったことである。

そう。

時代は変わったのだ。

この変化についていける者のみがこの治療を行うことができるのである。

最終的に充填し成形した。

問題がないと判断し、PAを2枚撮影した。

処置に問題はないと判断し、縫合した。

パピラには縫合糸は1本しか通していない。

もっと糸を通せ!と批判する人がいる。

もっと縫わないと歯茎が下がるじゃないか!という主張である。

私は、そういう教育を受けていない。

歯内療法外科はペリオ(歯周病)の歯にはできないのである。

したがって全く気にすることのないお節介である。

問題があるのであれば、いままで私は何度も訴訟されているであろう。

以下の例もそうである。

私はいつも外科後に綿密に縫合することはない。

かつて、藤本研修会で藤本浩平先生(ペリオ担当)から

”大丈夫です。最終的には神様が治してくれます”

と言われたのを今でも覚えている。

神経質になることなどないのだ。

またそれを証拠に上記の症例は、

綿密に縫合しなかったからといってペリオの問題が出ているだろうか?

出ていないことからもそうした批判は当たらないということがわかるだろう。

瘢痕も何もできていない。

そして何よりもこうした処置は、命に直結しない問題である。

よほどコロナのほうが国民は気にするだろう。

このように歯科治療は、歯科治療なのである。

どんなに去勢を張ってもそこから超えることはないのである。

つまり、あなたがこうだから!と頑張っても、患者はそれが自分に見合う者でなければYesと言わないだろう。

わかるだろうか?

歯科治療とは、このように瑣末なものなのである。

あなたが思ってるほど、患者はそれが大事である!と考えてはいないのだ。

ということで、処置自体は1時間で終了した。


見学者は、

”1時間しかかかっていない…”

とみんな驚きであった。

私が

2019.3に脳出血で倒れたにもかかわらず、である。

あなたはカタワだから何もできないと批判されたが、私は何の問題もなく歯科治療をおこなっている。

実はこの日は10時から別の患者で再根管治療であったが、それがトラブルで長引いてしまい外科が始まったのは休みなしの14時からであった。(この話は明日移行、ブログに掲載予定)

が、処置自体は1時間で終了した。(15時に終了)

この日は、見学の先生が3人来ていたので遅い昼飯を近くの喫茶店でみんなで食おうと思ったのだが、そこのおばちゃんから

”ごめんなさい、明日明後日(土日のこと)休みだからもうご飯無くなっちゃったのよ…”

と言われて昼飯も食えずにこの日の処置は終了した…

どうだろうか?

この処置からあなたが学ぶことはあっただろうか?

学ぶことがあるとすれば、まずは見学に来たほうがいいだろう。

見学希望の方は松浦のe-mialである、

endomatsuura@gmail.com

まで見学希望の連絡をください。


実は、今日もクラウンに穴を開けての根管治療があったが、月曜日だからだろうか?見学が誰もこなかった…

かなり難しい治療であるにも拘らずである。

上記の治療など簡単だ!というなら同じことを2本同時に1回法でやってもらいたい。

私はあなたに私の全ての仕事を任せるだろう。

ということで、このような出来事からも世の中の歯科医師は、根管治療になど全く興味もないのだということがわかるだろう。

みんな自分で根管治療をやるのである。

たかだか、120点のためにである。

まあそれに関しては私は個人的に意見を持ち合わせていないが、

多くの問題を引き起こして己の不明に気づくしかないだろう。

ということで1時間の#19 Apicoectomyが終了した。