昨日はオンラインでCurrent literature review 2022年2月編が行われた。

前回の告知から今月から、

Current literature review

Classic literature review

AAEのPosition Statement(ある場合のみ)

を読むこととなった。

詳しくは以前のブログ記事を参照にしていただきたい。

生まれ変わる, Current literature review 2022.1.27編


本日の論文は以下になる。

Ricucci 2021 Bacterial Invasion of Pulp Blood Vessels in Teeth with Symptomatic Irreversible Pulpitis

Weitz 2021 Preoperative Factors Associated with Anesthesia Failure for Patients Undergoing Nonsurgical Root Canal Therapy: A National Dental Practice-Based Research Network Study

Lin 1996 Periradicular curettage

Tesis 2014 Complications in Endodontic Surgery(§16 Guided Tissue Regeneration in Endodontic Surgery: Principle, Efficacy, and Complications)

以上のClassic, Currentの論文を参加者で要約し発表していった。

あっという間の?2時間であった。

それぞれを解説していこう。


Ricucci 2021 Bacterial Invasion of Pulp Blood Vessels in Teeth with Symptomatic Irreversible Pulpitis

歯髄炎ではどのように細菌が侵入していくか?に関して言及した研究である。


Weitz 2021 Preoperative Factors Associated with Anesthesia Failure for Patients Undergoing Nonsurgical Root Canal Therapy: A National Dental Practice-Based Research Network Study

麻酔の効果を見た論文である。

手技を鍛えましょうという声が伝わってきた。

IANBをしたことないです!では通用しない。

もっと手技を鍛える必要があるだろう。


Lin 1996 Periradicular curettage

この文献ともう一本がClassic literatureになる。

まずはLin 1996。

主な掻爬しなくて良いだろうと思う理由を以下のように5つほど引用してまとめただけの文献である。

根尖部の病変を掻爬しなくてもいい理由を述べたものである。

が、実質は5番目のOehelersの文献と言われても仕方がないことになっている。

論理展開は以下である。

歯根嚢胞の嚢胞は除去しなくても問題ないと述べる根拠の1つとしてOehelersの文献を引用している。


嚢胞は除去しなくても抜歯後小さくなるか消失するから

だとしているのである。

Oehelersの文献を解説しよう。

まず根尖病変を除去しないものを経過観察した。

根尖病変をそのサイズの大きさで3つに分類している。

病変の大きさ⇨10mm以上、5mm以上、5mm以下

10mm以上以外は9ヶ月以内に病変を掻爬しなくても骨が治癒した。

10mm以上は9ヶ月以内に36%は完全に骨が戻ったが、64%は骨が完全には戻らなかった。

ただその64%のうち、病変が大きくなったものは0%である。言い換えれば、64%は全て一応根尖病変が小さくはなっているのである。

また64%(9ケース)のうち6ケースを生検すると、

全て非炎症性で病変は静止・退行を示唆しており生体には害をなしてない

と論じている。

つまり、

大きい病変は小さくなるけども全て戻らない可能性があるが、感染源を完全に除去していれば非炎症性で体に害はない

という意味である。

だから全て除去不要というわけである。

しかしこの論文は、実際はLinではなく、実質Oehelersの文献であるが。。。

よくよく復習して頭に入れましょう。


Tesis 2014 Complications in Endodontic Surgery(§16 Guided Tissue Regeneration in Endodontic Surgery: Principle, Efficacy, and Complications)

もう一本はApicoectomyにGTRやGBRが不必要な理由を述べたものである。

2018年のデンバーでのAAEを思いだす。

まずGBRが要らない理由について。

ApicoectomyにおけるGBRの役割は”骨欠損の改善”である。

Apicoectomyで生じた骨窩洞は十分な血液供給が可能な環境であり、血液供給が必須である骨補填剤を利用する環境としては一見優れているようにみえる。

しかしながら、

Apicoectomyに骨補填剤を用いた研究は極めて少なく、術式としては十分なエビデンスはない。

加えて、骨補填剤を骨窩洞内に入れるとそのX線不透化性から周囲のX線不透化性と類似してしまい、経過観察時に治癒の評価が困難になるという大きなデメリットがある。

以上により、現時点でGBRの有用性は非GBRと比較しても高いとはいえない。

次にGTRが不要であると思われる理由について。

ApicoectomyにおけるGTRの役割は

粘膜骨膜弁から①上皮細胞②線維芽細胞が骨窩洞内に侵入するのを防ぐ

ことであると考えられる。(瘢痕性治癒を避けるため)

しかし、GTRを行わなくても上皮内の基底膜にはそもそも①上皮細胞の侵入に対して抵抗性がある。

したがって、GTR膜がその有効性を示さないのである。

では、②線維芽細胞の骨窩洞への侵入はどうだろうか?

粘膜骨膜弁からの骨窩洞内への線維芽細胞の侵入を絶ったところで、

骨窩洞周囲骨の骨髄間葉系細胞から繊維芽細胞は勝手に増殖する。

したがって、線維芽細胞の観点から考えてもGTRはその有効性を示さないといえる。

以上により、Apicoectomy後のGTR膜の有効性は低いと言わざるを得ない。


ということで今月から重要論文+Classic literatureという内容になった。

今後この勉強会が大きくなるかどうか?は読む論文が臨床にどれほど直結しているか?次第であると考える。

と考えれば1回目のこの新しい取り組みは個人的にはよかったと思う。

次回からも、臨床に即したliteratureをこれからも行っていきましょう。

次回は2021.6以前のCurrent literatureとClassicとPosition Statementを扱う予定です。

夜の長い?2時間、大変お疲れ様でした。