先日の日曜日は博多駅近郊会議室で、Advanced Course 2021 第9回が行われた。
この日のテーマはEndo-Perio Relationship, Cracked Tooth Syndrome, Vertical Root Fracture。
まずエンド-ペリオに関して話を進めていった。
エンドーペリオに関して覚えておくべき有力論文がある。
それが以下になる。
まず重要な?分類である。
ただこの分類は治癒して初めて分類することができる。
治療の前にどれに該当するか?は分からない。
この手の治療のポイントは、”待つ”ことである。
しかし、この業界はなぜだか待てない人が多い。
そんなに急いでどうするのだ?と言いたいがまあ私とは考え方が違うのだろう。
それはそれである。
分類ができれば次は押さえておくべき論文である。
この手の問題で押さえておくべき論文は4つある。
①Mazur 1961 Influence of periodontal disease on the dental pulp
エンドの問題から歯周疾患が起きることはほぼほぼないのである。
これは重要な考え方だ。
何に応用できるか?と言えば、外科治療だろう。
たとえ術後にピタッとフラップが戻っていなくても神様が治してくれる
ということを意味する。
難しい問題は何もない。
②Langeland 1974 Periodontal disease, bacteria, and pulpal histopathology
どのような感染経路が歯にはあるだろうか?
根尖までペリオが進むとペリオ⇨エンドになるがこうなる前にほとんどの歯は抜歯されるので治療に上がってこない。
つまりこの状況は非常に臨床的には稀な状態
であることがわかるだろう。
学術的には面白いが、要はペリオが根尖まで進行すればペリオ⇨エンドになるということである。
そこまでペリオを放置しておくのもすごいが、逆に治療ができないというのがどれほどの臨床家に訴えかける治療になるだろうか?
③Jansson 1995 Endodontic pathogens in periodontal disease augmentation
このことから
Deepなペリオ治療(SRPなど)をする時は、エンド治療が終了してから
ということがわかるだろう。
ペリオの治療をするには待たなければいけない。
エンドが先でペリオが後である。
同時にはできないのである。
④Blomlof 1988 Influence of Pulpal Treatments on Cell and Tissue Reactions in the Marginal Periodontium
エンドが問題がある歯にペリオの治療をしている。
その結果どうなるだろうか?
根管治療に問題がある歯に歯周治療をすると歯周ポケットがより深くなることがわかるだろう。
そうならないようにどうすればいいか?と言えば、
歯周治療の前には歯内療法を終わらせなさい
ということである。
この原則を守っている人が日本にどれくらいいるだろうか?
以上の4つの文献情報を整理すると以下になる。
この原則を守って処置にあたっていこう。
以下のようにCaseを提示した。
この状態でペリオの介入をしてもいいかであるが、
Dental Pulpでは根管治療の治癒を1年も待っている。
あなたはこんなに待てるだろうか?
それとも小銭稼ぎに歯周治療するだろうか?
患者さんにFacebook Messengerを送ってみたがいまだに返事はない。
今度電話してみてPAをいただけないか?聞いてみようと思っている。
私がEasyなApicoectomyだ!と思って失敗したケースもある。
以下のケースがその苦い思い出を思い出させる。
歯周病の先生に紹介したが、今はどうされているだろうか?
元気なおばあちゃんの患者さん(もし健在なら90近い)は今はどうしているだろうか?
倒れてしまい、全てが変わってしまった。
ということで、以上の治療の原則を説明した。
次がCracked Tooth Syndrome, Vertical Root Fractureである。
ここでは一般的な話からその治療方法まで説明したが、保存できる可能性があるのはCraze lineとFractured Cusp だけである。
それ以外は如何ともし難いものがある。
AAEの予後の表を見てみれば一目瞭然である。
これはタダで手に入れられるものであるので、それぞれの先生がAAEの中からダウンロードしてください。
ということで長い週末が終了した。
次回はいよいよ最終回である。
午後のケース発表の前に、
骨補填剤やGTRをApicoectomyにしないでいい理由、矯正とエンドの話、外傷の話などを行う予定である。
1日お疲れ様でした。
もう1回だけ頑張りましょう。