紹介患者さんの治療。

初診は2022.5.20

主訴は2つあった。

①右上7番(#2) 痛みが出て他院で抜歯を勧められているが抜歯したくない…現在はたまに痛みがある程度。

②右上5番(#4) 抜髄処置後の経過が不安…

である。

根管治療の後に痛みがったり、前医の治療内容に疑問を感じているため治療の予後が不安だという。

その最たる原因が、ラバーダムをしていないことだという。

しかし、これが日本の歯内療法の平常運転だ。

日本の患者さんはよく覚えておこう。


歯内療法学的検査をおこなった。

#2 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Cold+3/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#4 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

この時点ではどこにも痛みはない。

PAは以下になる。

CBCTは以下になる。

CBCT(2022.5.20)

患者の主訴通り、#2,4には歯内療法の問題がある。

#2は根尖部にファイルが折れている感じがある。

#4の断層写真は以下である。

マージンから11mm下にApexがある。

Apexを出すには頬側の皮質骨を削らなければならない。

厚みは以下になる。

ロングのラウンドバーの#6の先端が一個ハマればその先にちょうどApexがある。

Apexを見つけたらApexから3mmで切断する。

Apexから長さ3mmで切ればいいので、以下のような頬舌的な奥行きが必要である。

約6mmである。

6mmというのはリンデマンバーの半分ちょっとだ。

全く難しさを感じない。

30分程度で終了する治療だろう。

しかしまずはこのクラウンを外してレジンで築造をやりかえなければならない。

それからApicoectomyとなった。

#4 Pulp Dx: Previously Treated, Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis, Recommended Tx: Core build up with Fiber Post→Apicoectomy


Apicoectomy時(2022.6.6)

☆以下、外科動画・写真が出てきますので不快感を感じる方は飛ばしてください。


①Osteotomy

Flapを開いて根尖部をまず探す必要がある。

この歯牙よりも近心寄りにApexがあることは術前の情報でわかるだろう。

想定した部位にApexを発見した。


②Root resection

根尖部3mmの切断をおこなった。

きちんと切断できているか?は高倍率で確認しないといけない。

そしてメチレンブルーも必要だ。


③Retroprep

そして逆根管形成を行う。

なるべく術野を狭く行いたいが、ここが1番の盲点になる。

つまり、あまりにも小さすぎる術野では逆根管形成ができないのだ。

ある程度の術野(スペース)が必要になる。

この回もそれで少し?苦戦している。

超音波はKerrの超音波を使用している。


④Retrofilling(Lid technique)

逆根管形成に問題はないと判断し、Lid techniqueで逆根管充填をおこなっている。

PAを2枚撮影した。

Prepは全体的に近心にそれてしまっているが問題ないと判断し、縫合して終了した。


⑤Suture

問題はないと判断している。


以上で#4のApicoectomyは終了した。

まだ治療は他の部位もあるのでその模様はまた報告したい。