非常勤歯科医師のApicoectomy。

他院からの依頼で行った。

患者さんの主訴は、

2週間前に自発痛があった。1日で治まったので様子を見ていたが問題があるのであれば治療を行いたい

であった。

歯内療法学的検査(2022.4.1)

#6 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#7 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#8 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

初診時 PA(2022.4.1)

CBCTは以下になる。

初診時 CBCT(2022.4.1)

切断に関して2つの考え方がある。

まず必要最小限しか歯根を切断したくない場合だ。

次に根尖病変に合わせて歯根端を長めに行う場合である。

病変まで長めに4mm切断すると、切断面にはGutta Perchaが見えるはずだ。

が、あまり深くRetroprep+Retrofillはできない…

術者は、

①病変まで確実にカットして破折などの確認を行うため

②逆根管形成は既成ポストの削除、無理であれば周囲の歯質を削除することで確保できる、

③90°でのカットを行えば、逆根管充填剤の厚みがたとえ1mm程度でも根尖側漏洩を回避できる

と考えたため、積極的に病変までカットする方法を選択した。

歯内療法学的診断は以下である。

#7

Pulp Dx: Previously Treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Apicoectomy

ということで#7 Apicoectomyがその日に行われた。


#7 Apicoectomy① Papilla Base Incision, 根尖部の推定(2022.4.1)

☆この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は動画をSkipしてください。

根尖部は歯槽骨が薄いので容易に見つかるはずである。

#7 Apicoectomy② Osteotomy, Apicoectomy(2022.4.1)

Apex付近を削合すると、根尖部が出現した。

しかし動画を見ると私の予測よりも根尖部を削合していた。

そこはOver reductionかもしれない。

もう少しCBCTを頭に入れればよかったかもしれない。

しかし…イマージェンスプロファイルががっつりついている補綴物だ。

これでは…術後に歯肉退縮が起きかねない。

しかしその分野の話はもはや私には関係がないので何も言えないというか、言わない。

次に根尖部を切断した。

#7 Apicoectomy③ 歯根端切除(2022.4.1)

リンデマンバーを定規のようにつかい、根尖部を3mm切断している。

切断面を最終的にならすのでそれで合計3.6mm削るという作戦だ。

その後、切断面をならした。

この時の切断面が以下のようになっているだろうか?

なっていれば問題がない。

それを判断するのはあなた自身だ。

私はそうしたことを頭に入れてApicoectomyができない人なので、必ず外科治療の時は周囲に画像を印刷して貼り付けている。

次に逆根管形成をした。

#7 Apicoectomy④ Retroprep(2022.4.1)

この時、超音波のパワーをあげて逆根管形成している。

既製ピンを削合するためだ。

またその周囲の歯質を削るためもある。

ということは…

パワーをあげると折れるような超音波を使用する場合は複数本準備が必要だ。

最終的な逆根管形成窩洞は大きな丸い円のような外形になった。

逆根管形成した窩洞内をStropko Irrigatorで乾燥して逆根管充填した。

#7 Apicoectomy⑤ Retrofilling(2022.4.1)

問題なく逆根管充填ができている。

そのままデンタルを撮影した。

逆根管充填後 PA(2022.4.1)

問題ないと判断した。

最後に縫合して終了した。

さあそれから時間が経過している。

術後6ヶ月の状況が以下である。

#7 Apicoectomy 術後6ヶ月 Recall(2022.11.10)

術前と比べて補綴のマージンが大きく下がっている。

それは外科治療の所為なのか?と言われればそうだ。

が、この補綴物が全く不適合であることにどれだけの人が気づいただろうか?

イマージェンスプロファイルもがっつりつけられていた。

それでは勝負に負けてしまう。

それはマージンの下まで下がるはずである。

このような補綴しか装着できない臨床家にとってApicoectomyはパンドラの箱かもしれない。

PAは以下である。

#7 Apicoectomy 6M later recall PA(2022.11.10)

症状は何もないという。

良好な治癒を得てそうなPAだ。

しかし、レントゲンの業者がうちとこの歯科医院で違うのでPAでは判断がつかない。

CBCTは1年後に撮影する予定だという。

その際に再度詳細をお伝えしよう。

それまでお待ちください。