バイト先での治療。

主訴は

前歯の痛み。前歯でものを噛むときに痛い

が主訴であった。

歯内療法学的検査(2022.10.25)

#6 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#7 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(++), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#8 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

主訴が検査で再現できていた。

歯内療法で治癒する可能性が高い。

CBCTを撮影した。

初診時 CBCT(2022.10.25)

#7(右上側切歯)の口蓋側に病変がある。

この件に関しては何度か述べたとおりだが、側切歯は口蓋遠心方向にフックしていることが多いので根尖病変は口蓋側にできることが多い。

側方から見てみた。

口蓋方向に大きく病変ができている。

側枝的なものがCBCTで見える。これが再治療でなくて外科治療を決意させた最大の理由である。

また、皮質骨に穿孔はないが

ここまで皮質骨が薄ければおそらく透けて歯根は見える

だろう。

ということで、歯内療法学的検査は以下になった。

#7

Pulp Dx: Previously Treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Apicoectomy

ということでApicoectomyが行われた。


☆以下、外科治療の動画が出てきます。気分を害する方は視聴をSkipしてください。


#7 Apicoectomy① 切開・剥離(2022.10.25)

パピラベースで#12の遠心に縦切開してOpeを開始している。

前歯の審美性に配慮したわけではない。

頬側で縫合が終了するから行っているだけである。

楽だから行っているだけだ。

綿密にきちんと縫わないと予後の審美性に影響が出るということは我々の業界ではない。

何度もいうが、

ペリオに罹患している患者にエンドのオペはできない

のである。

最初からは畑が違うのでそういう患者はうちでは扱わない。

ペリオのオフィスに行った方がいいという説明をいつもしている。

既にこの動画の最後の方で根尖部がどこか?把握できるだろうか?

把握できないあなたは…根切の習熟度合いが足りない。

もっと多くの経験が必要だろう。

しかも経験者にアテンドしてもらわなければならない。

さもなければ何をやっているのか?意味もわからず終わるだろう。

ここでのポイントは、

歯根の色は変色している

ということである。

それが歯槽骨から透けて見えるのである。

するとどこをバーで削合すべきか?わかるだろう。

ということでOsteotomyを行い、Apicoectomyを行った。


#7 Apicoectomy② Osteotomy, Apicoectomy(2022.10.25)

根尖部が顔を出したのでメチレンブルーで染め出しRetroprepを行った。


#7 Apicoectomy③ Retroprep(2022.10.25)

問題はないと判断し、Retrofillingした。


#7 Apicoectomy④ Retrofilling(2022.10.25)

材料と道具の進歩で逆根管充填はかなり早くこなせるようになった。

MTAの時代が嘘のようである。

せっかくなので、

どうやって逆根管充填しているか?等速で公開する

これと同じことをすればいいのである。

私は誰かみたいにそこでお金を請求したりはしない。

最後に縫合した。


#7 Apicoectomy⑤ Suture(2022.10.25)

これも審美的な治療や歯茎のマネージメントをしている人から見れば汚い縫合かもしれない。

が米国歯周病専門医が言うように、

”最終的には神様が治してくれる”

のである。

しかも

”ペリオの問題がない患者を治療しているので大きな審美的問題は出ない”

のである。

歯根破折していれば別であるが…

しかし、当歯科医院にはオペ後に大きな審美的問題が出た人は前述したポイントがない人以外は全くいない。

ということで最後にPAを撮影した。

というわけで40分で治療は終了した。

時短で終わらせるには…

①右利きなら右から左への剥離

②根尖部の位置をどうやって見つけるか?の検索方法の整理

③Lid Techniqueによる逆根管充填

などが重要と言える。

明日からこうした術式を身につけてぜひ患者さんに応用してください。

(まあ誰もやるわけないか…)