1年以上前の投稿の続編。 あの歯はどうなっただろうか? 以前の記事は下にある。

メカニカルグライドパス?〜#19 開かない根管(近心根)の根管形成+根管充填方法

当時を振り返ろう。


主訴は咬合痛。

左下6の再根管治療であった。(2021.10.27)

歯内療法学的検査は以下になる。

#18 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WL), Mobility(WNL)

#19 Cold N/A, Perc.(), Palp.(-), BT(), Perio probe(WL), Mobility(WNL)

#20 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WL), Mobility(WNL)

PAは以下になる。

歯内療法学的診断は以下になる。

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical priodontitis

Recommended Tx: Re-RCT

患者さんは治療に同意され再根管治療となった。

そこでのポイントは近心根管が穿通するか否かであった。

遠心根、Radix entomolarisには根尖病変がないのでこの2根管のマネージメントが重要になる。

クラウン、ポストコアを除去して再根管治療となった。(2021.10.26)

さて、私はこの近心根管を穿通させるために以下のような方法で模索した。

  1. Dentsply ProTaper Universal SXでコロナルフレア形成
  2. C+ File #10⇨#8⇨#6で穿通を試みる

しかし、残念ながら穿通させることはできなかった。

ということでこのような状態になった時にどうするのか?と言えば、本来はそういう意味ではないがメカニカルグライドパスしかないだろう。

#15以下のNi-Ti Rotaryを使用して根管の穿通を試みる。

その際、ファイルは根尖孔外へ溢出するが作業長を計測する際の小さなファイルの溢出は術後疼痛を起こさないことはTorabinejadが語っているとおりである。

ただし注意事項がある。

どのようにしてNi-Ti Fileを使用するか?だ。

例えば。

既に昔使用した、HyFlex EDMの#10.05などを高速回転すると破折の危険性が高いだろう。

従って常に新品を使用し使用したら処分しなくてはならない。(ワンユースで捨てる必要性)

また回転数をどうするか?である。

FKGによれば、以下のような決まりを策定している。

石灰化が強い場合はもっと回転数を上げる必要性がある。

通常で600~800rpm, 1.5N

石灰化が進むのであれば900~1,000rpmで形成する必要がある。

これを私は参考にしてファイルはHyFlex EDM #10.05でメカニカルグライドパスを行った。

すると程なく穿通し、RILは

ML=13.5mm

MB=12.5mm

となった。

#10.05で穿通しているので、#20.05, #25.V, #40.04, #50.03まで形成し#40.04のGutta Percha+BC sealerで根管充填した。

ポイント試適は以下である。

根管充填した。

BC sealerが根尖部から出てしまった。

偏心撮影をすると以下のようになった。

MLとMBの合流は再現されていた。

ということでレジンを築造し治療回数は1回で終了した。


ここから1年以上が経過していた。 この歯はどうなっただろうか? 1年予後(2022.10.25)のCBCTを交えて説明したい。

初診時 CBCT(2021.10.27)

M根

術後1年経過時 CBCT(2022.10.25)

M根

MBはMLと合流していることがわかる。 これは以前からこのブログで述べていることである。 根尖病変は1年前と比べるとかなり縮小していた。 Healingと言っていいだろう。 治療前後の状態を比較してみた。 問題は無くなっている。 次回は来年の10月である。 その際、また状況をご報告したい。