紹介患者さんの治療。

私が倒れる前に昔の博多駅東の歯科医院に紹介されていた。

主訴は

左上前歯の治療希望

であった。

#10の根尖部にSinus tractがある。

これは

感染が長く続いているということの証左だ。

この患者さんは、私が倒れる前に紹介されていた患者さんでその際、Apicoectomyを行うことになっていた。

が、私が倒れてコロナになって診療までが長引いた。

歯内療法学的検査(2019.3.2)

#8 Cold+4/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#9 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(++), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

この当時の記録を見ると、かなり長い時間Sinus tractがあることがカルテに記されていた。

その際のPAは以下になる。

PA(2019.3.2)

かなり長いピンが入っている。

そして根尖部には根尖病変だ。

冠も不適合である。

ということでその当時の診断は以下になる。

#10

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy

Sinus tractがあることから長い感染が歯にあることを意味しているので再根管治療ではなくてApicoectomyを私は選択した。

患者さんも治療に同意したが、私が倒れてしまい外科治療ができなかった。

ここから私は

かつての歯科医院を失い、

バイト生活となり、

周囲の助けで再開業し、

そして忙しく毎日を過ごしている。

最近の当歯科医院の予約がなかなか取れなくなってきた。昔と同様、現状1ヶ月先まで予約は取れなくなってきている。

また忙しさが戻ってきた。

と、ここで話を戻す。

患者さんは遠方からひさびさ当歯科医院に戻って来てくださった。

その際の主訴は、

左上前から2番目の歯の根元がときどき痛い。(数ヶ月に何度か)またフロスが切れてそのまま嵌って取れなくなることがある

であった。

歯内療法学的検査(2022.7.16)

#9 Cold+5/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#10 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(++), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

#11 Cold+5/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

3年前に存在していたSinus tractがまだ消えずにそのままであった。

これは根尖孔外細菌感染が起きている可能性が濃厚である。

PA(2022.7.16)

2019年と状況に変化がない。

CBCT(2022.7.16)

根尖部〜根尖から歯根の中央の頬側に歯槽骨の欠損が見える。

かなり欠損が進んでいた。

#10

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy

ということで3年ぶりにApicoectomyを行うことになった。

1回目に長いピンを外してファイバーポストに変えて、2回目にApicoectomyを行う計画である。


#10 Crown除去, レジンコア除去, ファイバーポスト支台築造(2022.7.16 )

長いピンを除去してFiber Post Coreに交換した。

別日に外科が行われた。

別日になぜ外科を行うのか?という、”理由”を知りたい方は、Advanced Course 2023に出るしかない。

ということで後日、Apicoectomyが行われた。


#10 Apicoectomy(2022.8.2)

気泡が入ってしまった。

が、

それが治癒に影響を与えないことは1960年代に証明されている。

意味がわからない人は、Basic Courseに出るしかない。

ということでここから半年時間をおいて経過観察することになった。


#10 Apicoectomy 6M Recall(2023.2.3)

逆根管充填に気泡が入っているにもかかわらず治癒している。

歯内療法に携わる人は、Torneckに背を向けて寝れないだろう。

意味がわからない人は、Basic CourseAdvanced Courseに出るしかないだろう。

CBCT(2023.2.3)

根尖部で消失していた歯槽骨は回復していた。

わずか半年で、である。

治癒に年齢が若い・年寄りだは関係ないことがこの症例でも示されている。

わずか半年で根尖部の骨吸収が全て治癒している。真の再生療法だ。

ベベルはついているが、Retroprepがベベルの最歯冠側よりも深く掘られているので影響がない。

これが学習するることから得られる臨床的な知識だ。臨床で使えない知識など入れても仕方がない。

そして、Sinus tractもないし、Palpationも消失していた。

これで日々の生活を豊かに送れるだろう。

患者さんは感動してこのCBCTの写真を撮らせてくれと以下の比較写真を携帯で撮影していた。

治療の前後を比較した。

治療前vs治療後 6M Recall 比較

ということで次回は1年後の2023.8に1yr recallを行う予定である。

その際の報告をお楽しみに。


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