Apicoectomy時にベベルをつけてしまうと深く逆根管充填しなければならなくなり、Apicoectomyそのものが大変になる。
それを避けたいのであれば、以下のポイントに気をつける必要がある。
なおこれは個人の経験でエビデンスなどはない。
急角度なRoot resectionをしてしまった症例とともにそれを認識してみよう。
まず最初からその答えを述べると、
ベベルがついた切断をしまった場合は、根切した後の断面が見えることが多い。
つまり、
患者の外科時の頭位のポジショニングを変えていないにもかかわらず、根切した切断面が見えるような切り方をした場合はベベルがついている
と考えなければならないだろう。
例を挙げて説明する。
#9 Apicoectomy 術前(2022.1.25)
#9のApicoectomyを依頼された。
#9にはレジン前装冠が装着されている。
歯が大きく見えるのは、形成量が足らないからだ。
あまり削っていないので歯が大きく見える。
昔、藤本研修会・補綴咬合コースで指摘されていたことだ。
そして…保険が安いから?と言ってこのような劣悪なクラウンを装着しているのは日本人だけだろう。
でもそれは、
患者さんの希望でなく、歯科医師の主導で行われたこと
である。
これが呆れる話だ。
まさにアメリカでは考えられないことだ。
CBCTを撮影した。
#9の根尖部〜遠心側にかけて大きな病変がある。
根尖部には折れたファイルがあり、Sinus tractもあったので、Apicoectomyを行った。
☆以下、臨床動画が出てきます。不快感を感じる方は試聴をお控えください。
パピラベースで#7の遠心に縦切開を入れて外科治療をスタートさせている。
切開のデザインはパピラベースだ。
なぜか?
頬側で全ての仕事を終えることができるからである。
が、ペリオの専門医からは不評?のようだ。
Apexを見つけて根切した。
この動画の最後がどうなっていただろうか?と言えば、
歯根を切断した時に切断面が見えてしまっている。
これは切断時にベベルがついていることを意味する。
さらに動画を進めていくともっとその問題が?わかるだろう。
前歯だからと頭の位置を変えずに直視ができるから!とApicoectomyを行うとこのようなトラップ?に落ちることになる。
PAを撮影した。
さて私は本当にベベルをつけて切断してしまっただろうか?
この後の予後を追ってみているので、皆さんにも確認していただきたい。
#9 Apicoectomy 6M Recall(2022.8.23)
どうだろうか?
私は90°に切ったつもりだったが、実際は45°に切っていると思われる。
しかしながら治癒は起きている。
なぜか?と言えば、つけたベベルの最歯冠側よりも深く逆根管形成し、逆根管充填できたからだ。
Tidmarsh 1989の文献からわかることとしては、
逆根管形成と逆根管充填がつけてしまったベベルの最歯冠側よりも深く形成・充填されているのでリークを防いでくれている
と言うことである。
つまり、再発するリスクはかなり少ないと言うことがわかる。
が、そもそも論だがなぜこう言うベベルがついてしまうか?と言えばやはり
患者の頭の位置とユニットの角度と顕微鏡の歯に対する当て方
だろう。
頭の位置をいつ変えるか?だが、
私は、
歯根を切断するときまで患者の体位は通常のままでいい
と考える。
すると歯根を切断した時に切断面が見えなければうまくいっていると言うことになる。
ちなみにこれは、
マイクロスコープを見てクラウン形成すると、その形成後の歯の軸が隣在歯に平行でなくなる経験を持つ私が考える個人的体験に基づいた意見
なのでエビデンスはない。
が、比較的うまくいっている症例を提示するとその違いがわかる。
根を切断した後に断面が見えるだろうか?
もし見えれば…
Tidmarsh 1989の考えを取り入れないといけないだろう。
断面が見えるように調整した。
詳細は以下の記事を読んでいただきたい。
さて先程の患者さんは深くRetroprepしたため深い症状や臨床症状やSinus ractなどは出ていない。
この後、患者さんにはいかなる臨床症状もなく、かかりつけ医で最終補綴が装着された。
ちなみに外科時は以下のような縫合であったが、審美的に問題が出るだろうか?
と言えば、
歯周病の患者ではないので問題は出ないはずだ。
出るはずがない。
そんな人はほとんどいないのだから。
Sinus tractもいかなる臨床症状も消失している。
ということでおわかりいただけただろうか?
このようにしてベベルの付与を避ければより良い外科治療ができるかもしれない。
が、あくまでも私の個人的な意見なので参考程度にしてください。
ということで今日はここで筆を置くことにしよう。