Apicoectomyの経過観察。

患者さんは他院から紹介された方である。

紹介を受けたその日に治療を行った。

主訴は

歯茎が腫れて同部を押さえると痛い

であった。


歯内療法学的検査を行った。

#18 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#19 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

#20 Cold+4/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

以下、口腔内の検査の動画が出ますので気分を害する方はSkipしてください。


PAは以下になる。

近心根は尖通しなかったようである。

というよりも前医はハンドファイルで根管形成・根管充填しているだろうから治癒するはずがない。

このチョークで引いたような遠心根の根管充填がそれを物語っている。

偏遠心で撮影した。

Radixがこの歯には存在していた。

治療者もそれを発見し根管形成・根管充填したのだが、だからと言って根尖病変が治癒するとは限らない。

根尖病変が治癒するかどうかは以下のような関係性があるからだ。

Radixを発見しても細菌がフリーで侵入してくる環境であれば根管治療など無意味だろう。

竹槍で相手を駆逐しようとしていたかつての日本人を思い出す。


CBCTは以下になる。

CBCT(2022.2.22)

外科治療が濃厚な根尖部の状態だ。


#19の歯内療法学的診断は以下になる。

#19 Pulp Dx: Previously Treated, Perapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy


推奨される治療はApicoectomyとした。

なぜか?と言えば、

私にはここまで根尖部を拡大し、無菌的な状態で行われていない根管治療が行われたものを修正することはできない

からである。

尖通するとも限らない処置を行うのであれば、一発で決めれる処置を行ったほうがいいからだ。

ということで患者さんは治療内容に同意されたため、Apicoectomyへと移行した。


遠方(大分)から来られた方であったので、初診と同じ日にApicoectomyを行った。

Apicoectomy(2022.2.22)

☆以下、外科治療中の動画が出てきます。不快に感じる方は試聴をお控えください。


根尖部を出し、3mmで切断している。

下顎の大臼歯は難しいがこの歯は左下なので右利きの私にはやりやすい。

私の書いていることが意味不明な?あなたはマイクロサージェリーコースなどに出た方がいいだろう。


Apex-3mmを切断した。

この時の根尖部の見え方の違いにあなたは気がついただろうか?

ここがApicoectomy最大のポイントである。

¥1,000万する高い顕微鏡の購入など考えずに、基本に立ち返った方がいいだろう。

<マイクロスコープ修正前>


この時、あなたは切断面を直視できるだろうか?

と言えば、無理である。

が、次の動画ではどうだろうか?

<マイクロスコープ修正後>


1番目の動画と違う点は何だろうか?

と考察しても永遠にわからないだろう。

わからないあなたは、マイクロサージェリーマンツーマンコースに出るしかない。

難しい話ではないのだ。


Lid techniqueで逆根管充填した。


PAを撮影し問題がないかどうか?確認した。

問題はないと判断し、縫合し終了した。


ここから時間が半年経過したため、6M Recallを行った。

Apicoectomy後, 6M Recall(2022.8.16)


口腔内にSinus tractがあるか?確認した。私が外科治療を行った理由にもなっていたが…

Sinus tractは消失していた。

患者さんは大喜びであった。


ということで6M Recallは無事終了した。

この調子ならば、1yr Recall+CBCTであとは4年に1度程度の遠隔受診でいいかもしれない。

次回は半年後の来年の2月に再度、この患者さんの模様をCBCTを交えてお伝えする予定である。

しばし、お待ちください。