まつうら歯科医院での失敗症例のリカバリー。

#13のApicoectomyを行なったが、歯茎が腫れているというのが主訴であった。

その当時の状態は以下である。

2022.6.23(Apicoectomy後、Sinus tract出現)


PAは以下である。


ペリオの問題がSinus tractを引き起こさせた!と勘違いした私は歯周病専門医に連絡するが、以下のような返事を受ける。

 

◯×さんについてですが、初診時より縁下カリエスもあり、同部位には5mmの歯周ポケットがありました。

その後、縁下カリエスの処置前にクラウンレングスニングを行い、同部位のポケットは3mmになりましたが、歯間乳頭部の歯肉が盛り上がり、5mmに戻っています。

現在のCT像を見るとレントゲン透過像は根尖から辺縁骨まで連続性がありエンドペリオ病変のように見えます。しかし、根尖に達するポケットはありませんので、結合組織付着は残っているのかもしれません。

2018年に外科をした際は辺縁骨は確かにありましたので、その後、外科のトラウマの可能性も含め何かが起きたのかもしれません。

サイナストラクトの原因ですが、通常、歯周病によってサイナストラクトができることは稀です。

腫れるような炎症の場合、歯周ポケットを通じて排膿が起きるためです。

CT画像から根吸収も認められませんし、結局のところ、サイナストラクトの原因は不明です。

あとは破折とかもありうるのかもしれません。


Sinus tractはペリオが原因でできることは稀

この事実を理解していると謎がクリアになる可能性は高いだろう。

ということで、私は再度Apicoectomyではなく、破折の確認を含めてIntentional Replantationで何が問題なのか?を確かめることにした。


Intentional Replantation(2022.7.14)

この時の最大の私のミステイクはApicoectomyで

ベベルをつけて切断してしまっている

という事実に気が付かなかったことだ。

それはIntentional Replantationした歯を顕微鏡で見て気がついた。

遠心に破折線や穿孔を探したが…全くなかった。。。

単に私はベベルをつけて切断して、浅く逆根管形成していたために、封鎖が得られなかったのだ。

ということはこれから間違いを犯さないようにするには、”いかにしてベベルを付与することなく歯根を切断したか否かをどのようにして確かめるか?”

を知ることにあるだろう。

が、私はやり直し治療をIntentional Replantationで行ったので修正は容易だった。


1. 脱臼+抜歯


2. 抜歯窩掻爬


3. 抜歯歯牙精査・根尖部ベベルの修正


4. 続ベベル修正, 破折線の有無のCheck


5. 逆根管形成


6. 逆根管充填


7. PA撮影・確認

修正後の状況をPAで撮影していた。


抜歯窩へ歯牙を再植して以下のようになる。


さてここから1ヶ月。

この患者さんはどのようになっただろうか?

この日(2022.8.16)に経過観察に来ていただけた。


1M Recall〜#13 Intentional Replantation後(2022.8.16)


1ヶ月前にあった頬側の歯茎の腫脹は消失した。

動揺もほとんどない。

が、PAを撮影しても違いが出ないので今回はPAは撮影していない。

CBCTもそうだ。

もう1ヶ月経過を置いて、皆さんにご報告したい。

その際は、歯内療法学的検査、PAなどを撮影したいと思う。

来月のRecallをお待ちください。