紹介患者さんの治療。

他院から紹介の患者さん。

主訴は

歯内療法に問題がある部分は全て治療したい。まずは右下奥歯から

であった。

このような主訴は久々でGPに戻った気分だ。

歯内療法学的検査は以下になる。

#29 Cold+6/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#30 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#31  Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

PAは以下になる。


CBCTも紹介医からもらっていた。

近心根に根尖病変はない。

問題がなさげな根管治療である。

が、前医はラバーダムを使用していないことが患者さんから語られている。

このことが何か問題を起こしただろうか?

と言えば、私は再治療においては是々非々で対応している。

結論から言えば、根尖病変がなく、詰められているGutta Perchaがかなり硬くて除去に時間がかかるだろうと考えた私は、近心根菅の再治療は行わないことに決めた。

遠心根である。

遠心根には根尖病変がある。

そして、Gutta Perchaが根管充填材で用いられていない可能性が高い。

患者さんと話をして遠心根を優先的に治療して、近心根は将来問題が起きた時にApicoectomyすると告げた。患者さんは治療計画に同意された。

歯内療法学的診断は以下になる。

#30

Pulp Dx: Previously Initiated Therapy

Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Re-RCT+Core build up with Fiber Post

先ほど述べた治療計画に同意されたために、再根管治療となった。

遠方(熊本)から来られた患者さんであったので、初診と同日に再根管治療が行われた。

さて…

このPAの歯牙の残存歯質はどれくらいだろうか?

メタルポストコアが用いられているということは、残存歯質がほとんどないということの証左であるが、ここはそんな歯科的常識が保険診療(点数)によって駆逐されている国、歯科的後進国の日本である。

さあでは賭けてみよう。

午後から再根管治療が行われた。


Re-RCT+Core build up with Fiber Post(2022.8.18)

☆以下、治療内容の動画が出てきます。不快感を感じる方は飛ばしてください。


ラバーダムがかけれる歯にメタルポストコア装着…

目が見える人なら何が問題か?わかるだろう。

そう。

日本の歯科治療は手先の問題ではなく、頭の問題であるということが。

さらにこの先このメタルポストコアの除去を試みるとさらに意外なことが判明する。


どうやら前医はこのメタルポストを除去せずにそのまま有効?利用しようとしたようだ。

新しい?試みに驚きを禁じ得ない。

そしてこの除去した遠心根に存在する根管充填材を除去しようとしたときだ。

更なる驚きが私を襲う。


根管から綿がじゃぶじゃぶ取れてくる。

ここはインドか?

ブローチ綿花には思い出がある。

あれは勤務医の時だ。

某県の自称大手?歯科医院に勤務している時だった。

私に対して、

あの先生はブローチ綿花を作れない!

と当時の院長に告げ口する歯科衛生士がいた。

顔はレスリングの某金メダリストにそっくりな彼女は子連れで歯科医院によく来ていた。

そしてことあるごとに私の文句を院長に言っていた。

その成果?かわからないが、

私、高齢の歯科技工士、歯科技工助手の3人がその年の暮れに解雇された。

ブローチ綿花が巻けないからとクビにされた私が、その後アメリカに渡りエンドの専門医になっていることを考えると、彼らは驚きだろうが、アメリカにブローチ綿花で根管を清掃するという文化はないということを皆さんには報告しておこう。

USCでは常に、ウルトラデントの根管バキューム、滅菌されたペーパーポイントであった。

したがってそのようなものは不必要である。

そのほかにも多くの疑問が歯科には昔からあった。

が、それを解決してくれる人は、私の人生では今のところ現れなかったことからも真実は自分の目で確かめなければ納得できないという難しい人間性を醸し出すことになってしまったのは痛いところ?なのかもしれない。


話を戻そう。

それから作業長を測定し根管形成した。

IBF(という言葉自体がそもそも存在しないが)はK File #20であった。

RILは16.0mmであったので根尖病変があることから作業長は15.5mmとした。

HyFlex EDM #25, #40, #50, #60まで拡大した。

Gutta Percha Pointは#40.04を用いた。

ポイント試適してPAを撮影した。

BC sealerを用いてSingle Pointで根管充填した。

この際のポイントは遠心根に対するGutta Perchaの本数だろう。


ファイバーポストを用いて支台築造し、PAを撮影した。


問題ないと判断し、再根管治療は終了した。

まだこの患者さんは当分は治療が続いていく。

また別部位の処置もご報告したい。