紹介患者さんの治療。
主訴は
左上前歯の咬合痛
である。
歯内療法学的検査(2023.2.17)
#11 Cold+5/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#12 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#13 Cold+3/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴が再現できている。
PA(2023.2.17)
目立った根尖病変はないように思われる。
が、痛みがある。
それがこの歯の真実だ。
また、患歯の#12はほとんどの場合、2根管である。
この歯もそうだろう。
Apexは上顎洞よりも手前にある。
穿孔のリスクもなさそうだ。
と言うことで処置自体はなんともないと思われる。
おそらく、数十分で終わるだろう。
#12 歯内療法学的診断(2023.2.17)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Apicoectomy
既に根尖部が大きく形成され根管充填されていることから、再治療でなくApicoectomyに移行した。
☆ここから外科動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。
#12 Apicoectomy(2023.2.17)
#10の近心に縦切開を行い、パピラベースでFlapを反転していった。
右から左への反転なのでFlapの扱いが楽だ。
Flapを開けると#12のマージンが全くあっていないクラウンが装着されていることに気づく。
これではいくら歯を磨いても予防ができない。
このように全ての歯科疾患の原因は全て歯科医師側の所為にあるという事実を日本国民が知るとこの国はどうなるだろうか?
まあ何も起きないか。
ということでFlapを反転したら次に#12のApexを探さなくてはならない。
どこにあるだろうか?
CBCTを参考にしてApexの位置を予想する。
予想の位置にApexはあっただろうか?
そのApexを見つけ、3mmを切断した。
その後、メチレンブルーで染め出してRetroprepを行なった。
その際、逆根管形成のチップ3.5mmが全て埋まっていただろうか?
これをイスムスにも適応させるのはかなり難しいということを前回のAdvanced Courseでは体験していただいたがどうだっただろうか?
かなり難しいことをしているという認識をしなければならないのである。
その際は以下の道に分かれる。
①時間をかけてネチネチRetroprepするか(忍耐?)、
②常に新品を使用して時間短縮を図るか(お金を払い、新品に頼る?)、
③浅くRetroprepせざるを得ないか?(諦める?)、
いずれかであろう。
あなたはどういう人になりたいだろうか?
Retrofillingした。Lid techniqueで逆根充している。
逆根管充填後にPAを撮影し、状態を確認した。
長さをPA上で計測しているが、問題はないと判断した。
最後に縫合して終了した。
実に数十分の治療だ。
何も難しくない。
Very easyである。
とならなければ、この仕事を専門にはできないだろう。
このブログをご覧のあなたもそう言う臨床家を目指してください。
次回は半年後である。
またその際の状況をご報告したい。