私が米国から帰国したのは、2016.8の終わりである。

その時代から1件だけバイトに行って今も継続しているのが、学研都市歯科・矯正歯科だ。

バイトに行き初めの時代に行ったApicoectomyの予後が見れたので皆さんにご報告したい。

あれから7年が経過していた。


初診時の主訴は、(2016.12.22)

右上の奥歯で咬合すると痛い。また歯茎が腫れた。腫脹した部分を押さえると痛い。

であった。

歯内療法学的検査(2016.12.22)

#2 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(++), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

#4 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

主訴が再現できている。

適切な治療をすれば問題が解決できそうである。

が、Sinus tractがある。

このことはApicoectomyが必要な可能性を提示している。

PA(2016.12.22)

適切な治療をすれば…という項目には再根管治療は該当しないことがわかる。

これだけ太く形成し、根管充填をしていれば再根管治療で治癒することはない。

また石灰化しているDBは治療ができなかったのであろう。

それが米国歯内療法専門医なら尖通が可能である!などと私は言わない。

無理なものは無理である。

また、そのMB, DBの根尖部には根尖病変がある。

前医は石灰化していたDBを無視して治療を完結したのであろう。

ラバーダムももちろんされていないという。

これが日本の歯内療法の正常運転だ。

いつまで経っても, “被害者” は減らない。

初診時CBCT(2016.12.22)

MB, DBの周囲の歯槽骨は喪失している。

長期に渡る細菌感染がこの大幅な歯槽骨の喪失を招いている。

この状態で抜けば…GBRで数十万だ。

歯を残すよりも積極的に抜いてネジコロを入れた方が儲かるこの日本社会はどうかしている。

MB, DBの根尖部に病変がある。

MBは断層で見ると以下になる。

頬側の皮質骨まで破壊されている。

これがPalp.(++)の原因である。

歯内療法学的診断(2016.12.22)

#3

Pulp Dx: Previously tretaed

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy(MB+DB)

推奨される治療は、Apicoectomy一択だ。

それ以外の方法はない。

Sinus tractの存在は長期にわたる細菌感染と、根尖孔外細菌感染の可能性を疑わせる。

同日にApicoectomyを行った。

#3 Apicoectomy直後 PA(2016.12.22)

MB, DBを同時にApicoectomyしている。

逆根管充填にはMTAを使用している時代だ。

さてここから時間が7年経過した。

私が日本に戻った直後に行った拙い?Apicoectomyはまだ持っているのか??それともすでに抜歯の憂き目に遭ってしまったのか???

7年後をみてみよう。


#3 Apicoectomy後 7yr Recall(2023.4.11)

#2 Cold+5/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(-)

#4 Cold+4/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

術前に#3にあったSinus tractは消失していた。

また、初診時にあった打診痛、強い咬合痛と圧痛は消失していた。

ということで治療はうまく行ってそうな予感がする。

PA(2023.4.11)

MB, DBの根尖部に存在していた根尖病変は消失していた。

そして、特筆すべきはこのクラウンがパラのメタルクラウンであるという事実である。

しかもお世辞にも適合がいいとは言えない。(特に遠心)が、症状はなく問題が出ていない。

CBCT(2023.4.11)

MB周囲に存在していた根尖病変(大きな歯槽骨の欠損)は消失していた。

歯槽骨が回復している。

#3のMB, DB周囲にあった歯槽骨の欠損も回復している。

MBの断層面観であるが、歯槽骨の大幅な回復が認められる。

この状態でもしこの歯が破折等で失われても…Implantは容易いだろう。

術前と術後を比較してみた。

ということで7年 Recallは幕を閉じた。

と同時に、

“米国歯内療法専門医が提供するApicoectomyが信頼に足るものである”、しかも大学院を卒業して直ぐなのに、だ。

こんなことが日本の大学院であればいいが、まずない。

誰も教えられないからだ。

こうして日本は永遠に世界からガラパゴスになるだろう。

架空の国、Japan…ということが理解できただろう。

あなたはご自分の歯を抜きますか?それとも保存させて歯槽骨も回復させますか?