患者さんは30代男性。
以前の歯科医院での患者さんの経過観察である。
主訴は歯がグラグラして左側で噛めない。年明けからずっと治療しているが、ずっと気になっている左側を早く見て欲しいと希望したが、もう治療は難しいと言われた。特に左下はもう何もできない、左上一番奥は危ない状態であると言われた。
とのことであった。
セカンドオピニオンで別の歯科医院(自称歯周病専門医?)を受診したら別のことを言われてよくわからなくなり、とりあえず残せる歯は残したいと思い受診した、とのことであった。(2018.4.2)
歯内療法学的検査は以下のようになる。
#18 Cold+4/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)
#19 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)
#20 Cold+3/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio pocket(WNL), Mobility(WNL)
PAを撮影した。
歯内療法学的診断は以下のようになる。
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Apicoectomy(歯根端切除術)
この症例に関しては問題なく歯根端切除術である。
理由は根尖部が十二分に拡大されていることと既にテーパーをつけた根管形成がなされているということである。
歯根端切除術を行った。
すると分岐部に病変があると多くの方より?指摘を??受けたのであった。
エナメルプロジェクションやらそれがあるときはそこを落とせとか色々とアドバイス???をいただいた。
しかし私はEndodontistである。
ペリオに問題がある歯の治療をすることはできないのだ。
したがってこのようなときは歯周病専門医が近くにいればいいのに。といつも思っている。
術直後である。
ここから半年時間が経過した。(2018.10.29)
外科後から9ヶ月経過した。(2019.1.29)
ここで私は倒れたので経過が見れなくなったがこの患者さんがこの歯科医院に通っていたので経過観察を行うことができた。
歯根端切除術から3年経過している。
初診時に特に左下はもう何もできない、と断じた歯科医師は恥を知るべきだろう。
さて分岐部病変はあるのだろうか??
リンデ(Lindhe)とニーマン(Nyman)の分類だと1度である。
グリックマン(Glickman)の分類だと1級である。
この歯のどこに分岐部病変があるのだろうか?
そのようなものはなかった。
ではいつそれがわかるのか?
それは歯周病の治療を行う前に歯内療法の処置を行って初めてわかることである。
したがって多くの先生にアドバイスするとすれば、歯内療法の問題がある歯に歯周処置をするな、ということである。
外科治療をすれば見えるのでつい触りたくなるかもしれないがそれは早すぎる。
待つ必要があるのだ。
言い換えれば、
歯内療法の問題があれば歯内療法を行い、治癒後に必要があれば歯周処置を行うべきである
ということである。
しかし、この考え方が世の中に広まることはおそらくないだろう。
なぜか?歯周処置は歯科医院のドル箱だからだ。
歯周処置をやめたら歯科医院は経営できないだろう。
あなたはどうしますか?
歯内療法を行うか?それとも歯周治療を先に行いますか?