紹介患者さんの治療。

主訴は

大きな虫歯があるが、歯牙を保存したい

であった。

歯内療法学的検査(2023.6.23)

#14 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#15 Cold+3/1, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

症状は皆無である。

PA(2023.6.23)

#15の遠心にかなり大きな虫歯がある。

これをどう取るのだろうか?

CBCT(2023.6.23)

歯髄に近接する虫歯がある。

Pulp Dxは

Normalか、

Asymptomatic irreversible pulpitisか、

だ。

私は、Normalは採用しなかった。

理由は、

患者さんがこの歯牙を保存したいから

である。

保存するなら、う蝕処置は必須だ。

しかし術前の検査では、

歯髄の検査、根尖部の歯周組織の検査ともに、Within Normal Limitである。

しかし、どうやってこの虫歯を処理できるだろうか?

頭が痛む治療だろう。

ラバーダムはかけれるのか?

かけれてもどう充填するのか?

考えることはかなりある。

が、虫歯は全ては取れない。

そう開き直れば、わざとIndirect Pulp Cappingもできる。

術前に臨床症状もないからだ。

が、どうやって充填するのだろうか?

修復医療がかなり難しくなる。

それでは…Indirect Pulp Cappingの予後は芳しくないだろう。

ということは、治療方法は二択である。

①歯髄をどうしても保存したいのであれば、修復治療に難があるものの、Indirect Cappingに賭ける

②虫歯をきちんと処理したいのであれば、抜髄はやむを得ない。その後、虫歯の処置も行う

患者さんは②を選択した。

が、である。

虫歯を、

どうやって、

きちんと処置、

するのだろうか?

と言えば、

私は、

①歯牙を抜歯して、口腔外で虫歯を処置して

②口腔外で根管治療をして、

③歯根端切除術をして再植する

方法を提案した。

患者さんは…この治療方法に同意した。

そうでなければどういう治療があるだろうか?という話だ。

歯内療法学的診断(2023.6.23)

Pulp Dx: Asymptomatic Irreversible Pulpitis

Periapical Dx: Normal Apical Tissues

Recommended Tx: Ext→C-Tx→RCT→Core build up→Apicoectomy→Intentional Replantation

と言うことで前述の理由で

抜歯、

C処置、

根管治療、

支台築造、

Apicoectomy、

Intentional Replantation

の6段重ねの歯科治療を

1回法で

を行うことになった。


☆この後、外科動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。


#15 Ext→C-Tx→RCT→Core build up→Apicoectomy→Intentional Replantation(2023.6.23)

まず#15を抜歯した。#14があるので抜歯は容易である。

次に、遠心の虫歯を処置した。

虫歯周辺の歯石を除去した(=スケーリング)。

注意して欲しいのは、

それが=スケーリングが歯周治療ではない

という点である。

歯周治療は歯内療法より先に行うことはできない。

行えば、歯周ポケットが深くなるからだ。

が、この患者には歯周ポケットはないので関係がないのかもしれない。

次に根管治療を行った。

が、根尖病変がないこの歯のポイントは、

無菌的に根管治療する

ことである。

が、どうだろうか?

この状況(口腔外)での根管治療は無菌的そのものではないだろうか?

そして、根尖病変がないということは、

必ずしも全ての根管を穿通させて根管形成・根管充填しなくてもいい

ということだ。

CBCTを見て欲しい。

DB根は石灰化していると思われる。

ということは、

予防的にApicoectomyを行ったほうがいいだろうということがわかる。

そして、クレイジーにDBを追求する必要もないということが分かるだろう。

それを考慮して、根管治療をした。

この考慮する思考性が重要だ。

根管治療=全ての根管をApical Foramen-0.5/1.0mまで根管形成して根管充填することと思っている人には思いもよらない?考え方かもしれない。

遠心のカリエスをレジンで充填し、支台築造も同時に行った。

充填部を研磨した。

根尖部を切断し、逆根管形成し、逆根管充填した。

PAを撮影した。

問題はないと思われる。

抜歯窩を洗浄して、再植した。

再植後にPAを撮影した。

問題はないと思われる。

この後、1ヶ月後に経過観察に患者さんは来られた。

#15 Intentional Replantation 1M recall(2023.7.21)

問題はない。

かかりつけ医にプロビジョナルレストレーションの装着をお願いした。

ということで、この後経過を追いたかったのだが…

まだ追えていない。

この記事をご覧いただいたら、ぜひ連絡をお待ちしています(😭)