紹介患者さんの治療。
主訴は、
歯茎が数週間前から腫れて痛む。口唇に力を入れた時に特に痛い…
である。
歯内療法学的検査(2023.9.1)
#6 Cold+13/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#7 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(++), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#8 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#9 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#7,8の中間にSinus tractが見つかった。
そこを押さえると痛みがひどいようだ。
が、それがどこから起因しているか?はSinus tractにGutta Perchaを入れてPAを撮影しないとわからない。
PA(2023.9.1)
Sinus tractの原因は#7のようだ。
根管形成はほとんどしていない印象を受ける。
が、Sinus tractは根尖孔外細菌感染を引き起こすFactorだ。
であれば…再根管治療よりも外科治療の方が適応症となる可能性が高い。
CTも見てみた。
CBCT(2023.9.1)
#7
#8
#8は口蓋の方向へメタルポストコアが突き抜けかけているような印象を与えるCT像だ。
これが術前検査での#8のPerc.(+), BT(+)に寄与しているのかもしれない。
歯内療法学的診断(2023.9.1)
#7
Pulp Dx:Previously treated
Periapical Dx:Chronic apical abscess
Recommended Tx:Apicoectomy→Core build up with Fiber post
#8
Pulp Dx:Previously treated
Periapical Dx:Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx:Apicoectomy→Core build up with Fiber post
ということで同日にApicoectomyへ移行した。
⭐︎この後、外科動画が出てきます。気分を害する方は視聴をSkipしてください。
#7,8 Apicoectomy(2023.9.1)
術野は#10→#6までだろう。
これは術前に決めておかなければならない。
その通りに切開した。
その後、Apexを見つける作業に入る。
頬側の皮質骨を尖通させる必要がない(Osteotomyの必要がない)ほうから先に始めるべきだろう。
理由は時間が経過すると出血してくるからだ。
その点を考慮すると、#7→#8の順が安牌だ。
まず#7 Apicoectomyからスタートした。
この時に感じたことは、Apexが口蓋寄りにあるなという事実である。
が、それも術前のCBCTは示してくれている。
Apexが#8と比べるとかなり口蓋の方にある。
こういう情報を漏らさず知るにはやはりCBCTデータの分析と述中近くに見れるような位置にこの情報をプリントして貼り付ける必要がある。
これも昔、Dr. Schechterがアドバイスしてくれたことだ。
Apexを見つければ、Root resectionだ。
根切した。
逆根管形成して、逆根管充填した。
次が#8である。
#8はCEJよりも10mm下部にApexがある。
その位置は歯冠軸より#7寄りだ。
そして、少しだけだがOsteotomyを必要とする。
ということでApexを探索した。
Apexの位置を発見したら、Apicoectomy(Root resection)である。
逆根管形成した。
逆根管充填した。
逆根充後にPAを撮影した。
#7には気泡が見られるが特別問題はない。
縫合して終了した。
次回は、半年後の2023.2を予定している。
またその結果を皆さんにご報告したい。