紹介患者さんの治療。

主訴は

左下で物を噛むと痛い…物が食べれない。。。

であった。

歯内療法学的診査(2023.6.28)

#20 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#21 Cold NR/20, Perc.(-), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

主訴は再現された。

あとは適切な治療だけだ。

PA(2023.6.28)

すでに根尖部は大きく形成されて根充されている。

これは…再根管治療では埒が明かない。

検査の結果からも外科治療が濃厚だ。

ApicoectomyかIntentional Replantation…

しかしいずれにしても、このメタルポストコアは除去する必要がある。

さて。

この患者さんの#21には“本当に”ストレートなメタルポストコアが装着されているだろうか?

もしそうなら…抜歯しての外科治療(Intentional Replantation)は特に困難だ。

なぜか?といえば、抜歯時に歯牙が破折するからだ。

したがって、治療を行うのであれば是非とも除去をしておきたい。

ではそれができるのか?といえば、

CBCTを撮影して判断するのではなく、

PAの偏心撮影をこのような時はすることをお勧めする。

偏心で撮影するとこのメタルポストコアはストレートではなくてテーパーがついていることがわかる。

であれば…

これは除去が可能なやつだ。

CBCT(2023.6.28)

オトガイ孔ははるか底部に存在する。

歯根に、J-shaped lesionが見える。

Vertical Root Fractureか?といえば、それは誰にもわからない。

直接見るしかないからだ。

そしてこの絵でこのポストコアがテーパータイプかストレートタイプか?わかるだろうか?

私にはわからない。

この時点で、

メタルポストコアの形状を把握するにはCBCTよりもPAの方が一枚上手である

ということがわかるだろう。

これが私が今日、皆さんに伝えたかったことだ。

が、先ほどのCBCTの絵からはVRFが疑われる。

これに白黒をつけるのであれば…直視しかない。

ということで、

この時点で、この歯の白黒をきちんとつけるのであれば、ApicoectomyよりもIntentional Replantationの方が一日の長がある

と言えるし、

それが行うことができるか?の臨床判断(メタルポストコアの形状予測)はCBCTよりも偏心PAが上である

こともわかっていただけたであろう。

歯内療法学的診断(2023.6.28)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Intentional Replantation

ということで、メタルポストコアを除去してファイバーポストに変える治療がまず別日に行われた。

その後、Intentional Replantationを行う。


⭐︎以下、臨床動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#21 Core build up with Fiber Post(2023.6.30)

メタルポストコアの除去方法はPathway’s of the Pulpに記載の通りである。

セメントラインを出して超音波の振動で除去する。

この時、どうセメントラインを出すか?であるが、細いバーを使用してメタルポストコアと歯質の間のセメントラインを出さなければいけない。

この時便利なのが、SS WhiteのEndoGuide Burだ。

どのように使用するか?は上記動画を参考にしていただきたい。

そこに詳細があるのだから。

教科書通りの除去方法だ。

その後、レジンとファイバーポストを使用して支台築造した。

PAを撮影した。

問題はないと思われる。

次回は、Intentional Replantationである。

またその模様はいずれお伝えしよう。

さて。

今日のポイントは

偏心PAはメタルポストコアの形状を把握するためには必須の道具である

ということがお分かりいただけただろうか?

CBCTだけでは臨床ができない

のである。

そのことを頭に入れておきましょう。