紹介患者さんの治療。

主訴は、

硬いものを噛むと左下の奥歯が痛い。治療が必要だと思う…

であった。

歯内療法学的検査(2023.9.12)

#18 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#19 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

主訴を再現できている。

適切な治療をすれば治癒していく可能性が高い。

PA(2023.9.12)

近心根、遠心根ともに根尖病変があるように見える。

CTで詳細を把握してみよう。

CBCT(2023.9.12)

B

M根

Apexから3mmで切ると、

5.6mm頬舌的に切断すればいい。

それほど難しいことではない。

次がD根だ。

D根

Dも頬舌的に5.5mm切断すればいいことがわかる

歯内療法学的診断(2023.9.12)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Apicoectomy

ということで、M,D根の2根同時にApicoectomyをすることになった。

同日治療に移行した。


⭐︎この後、外科動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をskipしてください。


#19 Apicoectomy(2023.9.12)

切開して剥離した。

この状況でどこにM,DのApexがあるか?あなたは見えるだろうか?

私にはそれが見える。

CBCTの絵を参考にD, MのApexをOsteotomyして探索した。

Dはやや遠心より、MはほぼCEJの直下である。

まずDから行い、それからMを行うことにした。

Dはマージン部から13mmの位置にApexがある。

そこを1mm削ればApexが見えるはずだ。

Apexを見つければ、バーを5.5mm(6.0mm)の深さになるようにApexを切断した。

切断したが、切断の顎が残っていたので、強拡大で切断した。

その後、逆根管形成をして、逆根管充填していく。

次がM根だ。

M根のApexの場所を術前に把握する必要がある。

CEJから13mm下部にApexはある。

ペリオプローブを使用してApexの位置を探索し、Osteotomyした。

次がApex探しである。Apexが見つかれば、3mm根切する。

頬舌的に6mm切断すれば根切が完了する。

が、細かい部分は強拡大でCheckする必要があるだろう。

その後、Racelletで止血した。

個数をカウントしておく必要がある。

そしてそれをアシスタントと共有しなければならない。

メチレンブルーで染めて逆根管形成し、逆根管充填してPAを撮影した。

 

問題はないと思われる。

縫合して終了した。

後日、抜糸した。

抜糸(2023.9.17)

さて、この症例は難しいか?簡単か?と言われれば、これはeasyな方だ。

理由は頬舌的な切断幅が5.5mmしかないからだ。

リンデマンバーの長さ(11mm)の半分しかない。

この位置まで切断すればいいということがわかる。

それを術前に外科ペン等でマーキングしておけば治療は簡単になる。

もう一度それに注目して上の動画を見てほしい。

これが簡単でなくてなんだろうか?というやつだ。

この長さで頬舌的に切断すればいいのだ。

といっても、人によっては難しいだろう。

そういう時は誰かに任せればいいのだ。

ということでこの日の治療は30分ほどで終了した。

次回は半年後である。

またその模様を皆さんにお伝えしたい。