紹介患者さんの治療。

主訴は

歯茎が腫れてものを噛むと痛い。固いものが噛めない

であった。

歯内療法学的診断(2023.10.17)

#2 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#3 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(+), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

検査すると咬合痛に打診痛、根尖部圧痛と3冠王だった。

そしてSinus tractがある。

#3が原因だろう。

PA, CBCTを撮影した。

PA(2023.10.17)

PAでわかることは、

#3の

①MB根尖には病変がある。

②メタルポストコアが装着されている

ということくらいだろう。

いずれにしても、このようなものが装着されていれば後に補綴をやり変えることができる可能性が低くなってしまう。

歯牙が破折するからだ。

レジンコアが無難だろう。

詳細はCBCTで把握することにした。

CBCT(2023.10.17)

MB

Apexから3mmで切ると、上顎洞を穿孔する可能性が出てくる。

すると、面倒くさいことになるので、もっと歯冠側で切断することにした。

Apexから6mm程度だ。

Apexから6mmで切断すると、頬舌的に6.5mm切断する必要がある。

が、上顎洞に関わるトラブルが避けられる。

こうしたことを頭に入れて、Apicoectomyを行う必要があるだろう。

DB、Pには病変はなかったので、MBのみがApicoectomyの対象である。

歯内療法学的診断(2023.9.25)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Core build up→Apicoectomy MB only

築造して、Apicoectomyを#3のMBにのみ行うことになった。

なぜ同日行えないか?に関してはこのブログでも話しを以前からしている通りだ。

???なあなたは

Advanced Course 2024

でお待ちしています。

この日はそういうわけで、支台築造のみ行った。

そこでVRFがあればそれで終了である。

確認の意味でもまず築造を行った。

Post Core build up PA(2023.9.25)

結論から言えば…

MB根にVRFは見当たらなかった。

上記のように支台築造をおこない、別日にApicoectomyを行った。


⭐︎この後、外科動画が出てきます。気分を害する方は視聴をSkipしてください。


#3 Apicoectomy(2023.10.17)

MBのApexの場所は、CEJから13mm下部の位置だ。

すでに歯槽骨の穿孔も見られるようである。

当該部位をOsteotomyした。

すると、Apexが顔を出した。

この長さ(Apexから3mm)で切ると…

上顎洞に触れる可能性が出てくる。

それを避けるにはどうしたらいいだろうか?

といえば、

Apexから6mmの位置で切ればいい。

6mmで切断すると、頬舌的に6.5mm切断すればいいからだ。

その際、MB2もPrepしなければならないが、

かなり上部で切るのでそれほどMB1, MB2間の距離もなくなる。

難しい外科治療にはならないだろう、ということが術前にわかるということは先ほど説明した通りである。

Apexから6mm上部を出すことにした。

6mmの位置を確認し、頬舌的に7mm削合した。

この際、歯槽骨も切削している。

が、これでペリオ的な問題が出るとは思えない。

なぜか?といえば、

術前に歯周ポケットがWithin Normal Limit(WNL)だからだ。

歯周病の患者に歯内療法外科はできないのである。

ということで、メチレンブルーで詳細を確認した。

切れはじを調整し、Retroprepを行った。

窩洞内をStropko Irrigatorで乾燥し、問題がないことを確認してRetrofillした。

PA, CBCTを撮影した。

問題はないと思われる。

最後に縫合して終了した。

次回は1週間後に抜糸である。

その後は半年後に経過を追う。

また皆さんにご報告します。