紹介患者さんの治療。

主訴は、

左上前歯、外科治療をしたところに違和感がある…

であった。

この患者さんの歯科受診歴は複雑だ。

以下にまとめてみた。

30年前に#10をApicoectomyし、その後、5年前に#6,7,8,9,10,11をPFM Crownにしている。

その後、Apicoectomyした#10に問題が起きて、2022.12に他院でRe-Apicoectomyしている。

しかし、その後も、なかなか違和感がとれず、そこの歯科医院にも伝えてきたが、抗生剤を投与されてきたが、全く効かない。

もうそこでは再・Apicoectomyしなくてもいいかな?と思い、ネットで調べて当歯科医院を受診していた。

その歯科医院ではPAすら撮ってもらえなかった…

今年の12月で1年経過するときに撮影します、と言われたのみだった。。。

という迷走ぶりである。

このように、

米国歯内療法専門医でない人間の外科治療はリスクしかない。

俺はできる!と言って、誰が客観的に判断できようか?

これが、

私が4000万かけて渡米して米国歯内療法専門医になった理由

である。

そこに、文献がどうとか、

どこの大学院出身だとか、

西だ!とか、東だ!とか、

米国か、北欧か!

など一切何の関係もないことがわかるだろう。

あなたが、お金をかけて納得できる人が、どこかの勉強会で優秀な成績で出ました!と言って誰が信用できようか?

話を戻そう。

また、この方の口腔内にはインプラントが多い。

が、あまりそこも調子が良くないそうだ。

#7にも根尖病変があり、前医でそこもApicoectomyした方がいいと言われたそうだが、

#10も治癒していないのに何でしないといけないのか?と疑問を持っていた

という。

当たり前だ。

自分のケツを拭けない人間になぜFlapを再度開けて、別部位の治療を任せられようか?

ともかく、歯内療法の検査を行った。

歯内療法学的検査(2023.9.21)

PA(2023.9.21)

左右の側切歯に根尖病変ができている。

以前、この手の話はしたことがある。

上顎の側切歯は根尖病変ができる好発部位である

ということを。

理由は以下になる。

CBCT(2023.9.21)

#7(B)

#7(M)

ApexはCEJよりも14mm下方にあることがわかる。

Apexから3mmで切断すると、

頬舌的に4.7mm切断すればいい。

非常にEasyなApicoectomyだ。

#10(B)

#10(M)

顕微鏡もなく、何がしたかったんだろうか?

こういうのを、

手遊び

という。

失敗しても命は取られないが、

そういうこと(再・外科治療)をしなくてもいいように適切に処置をしろよ

と言いたいが、そんな声は届かない。

これからも、永遠に。

以前にもそういう記事がありましたよね?

あの人は今⑥〜#7,8,9,10 Apicoectomy(MTA逆根管充填)から5年経過症例

話を戻そう。

さてこの歯は、

他院で逆根充された部分まで切断し、新しくRetroprep, Retrofillしなおしたほうがいいだろう。

以下のようなイメージだ。

それが難しいことか?といえば、私にとっては非外科的な根管治療よりはるかにEasyだ。

2本で30分で終了するだろう。

歯内療法学的診断(2023.9.21)

#7

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Asymptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: Apicoectomy

#10

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Apicoectomy

ということで、別日に2本同時にApicoectomyとなった。


☆この後、外科動画が出てきます。不快に感じる方は視聴をSkipしてください。


#7,10 Apicoectomy(2023.10.20)

まず右上2(#7)からApicoectomyを行っていった。

この#6の近心(右上剣士の近心)にある妙な突起は他院でGBRしてできたらしい。

見た目の問題はないが、これを見ると前医を思い出すそうだ。

Apexの位置をOsteotomyしてRoot resectionした。

#10のApicoectomyに移行する。

移行前に#7のApicoectomyした部分にはRacelletを3個入れておいた。

縫合前に除去が必要である。

次が#10である。

続いて#10のApexを探索…

するまでもなく容易に発見された。

そして、前述した通り、前医が逆根管充填した部分を全て削合した。

Retroprepした。

このときは、レジンコアまでRetroprepすればいいので非常に楽である。

Retrofillした。

術後にPA, CBCTを撮影した。

問題はないだろう。

縫合して終了した。

次回は1週間後に抜糸した。

#7,10 Apicoectomy後 抜糸(2023.10.27)

この後は、6M recallである。

その際に、歯内療法学的検査、PA、CBCT撮影予定である。

またその模様をお伝えしよう。