紹介患者さんの治療。

主訴は、

前歯の歯茎が腫れた。押さえると痛い…

であった。

歯内療法学的検査(2023.10.31)

#8 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(++), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

#9 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(++), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)

#10 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

#8,9にはSinus tractがある。

患者さんに聞くともう何年も経過しているようだ。

ということは…

外科治療(Apicoectomy)が濃厚

だろう。

PA(2023.10.31)

CBCT(2023.10.31)

#8

#9

#9は根尖部が破壊されていた。

そして両方ともSinus tractがある。

ということは…

この2本の歯は、Apicoectomyの適応症と言える。

その話を患者さんに以下のようにした。

再治療をしても治癒しない可能性がある。

そういう話をすると、患者さんは

クイックなApicoectomy

を選択された。

ということで、支台築造して歯根端切除術する治療計画である。

歯内療法学的診断(2023.10.31)

Pulp Dx: Previously treated

Periapical Dx: Chronic apical abscess

Recommended Tx: Core build up with Fiber post→Apicoectomy

ということで、同日、Core build upし、Apicoectomyへ移行した。


☆この後、外科動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。


#8,9 Core build up with Fiber post→Apicoectomy(2023.10.31)

まず、メタルポストコアを除去し、支台築造した。

その後、外科治療がスタートする。

Flapを反転し、まずは#9からApicoectomyしていく。

#9は根尖部がすでに破壊されているので水平に切断することのみをした。

なぜか?

メタルポストの最歯冠側からApexまでの長さを測定してみよう。

#8は 13.5mmあった。

では、歯根吸収が起きていることが考えられる#9(反対側同名歯)を見てみよう。

10.9mmだ。

このことが意味することは、

#9はすでに根尖部が3mm外部吸収で消失したものと思われる。

ということは…

#9は切断自体をする必要がない(ベベルをゼロにするのみでOK)ことがわかる。

つまり、Root resection不要のApicoectomyのみでいい可能性がある。

ということで、ゼロベベルで水平に調整し、逆根管形成し、逆根管充填した。

次が#8である。

#8はOsteotomyの必要はあるものの、歯槽骨が薄いので透けて歯根は見えるだろう。

Apexを見つけて、Root resectionし、Retroprepし、Retrofillingした。

この後、PA, CBCTを撮影した。

#8

#9

問題はなないと思われる。

最後に縫合して終了した。

かかった時間は縫合までで25分である。

これくらいの外科治療はすぐ終わる。

実にEasyだ。

ということで、次回は半年後である。

またみなさんにご報告したい。