かつての歯科医院での治療。
Apicoectomyしてからこの年で5年が経過しようとしている。
初診は2017.7.28である。
他院から(私の大学の先輩の先生)の紹介の患者さん。
主訴:上顎前歯の精査・再々Apicoectomyの依頼(紹介歯科医師の主訴)
病歴:高校生の時(2001年,近隣の一般歯科医師), 2008年(病院歯科)にApicoectomyを行うものの歯茎が腫れている。歯茎を抑えると痛みがあり、膿が出る。セラミック修復を行っているので、このままだと将来が不安である、とのことであった。
そしてもっと驚くことに、その時(2008年の病院歯科)の担当歯科医師は
再発したらまた(3回目の)Apicoectomyを行います
と答えているという。
歯内療法学的診断
#6 Perc.(-), Palp,(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#7 Perc.(+), Palp,(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#8 Perc.(-), Palp,(+), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#9 Perc.(-), Palp,(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#10 Perc.(-), Palp,(+), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL), Sinus tract(+)
#11 Perc.(-), Palp,(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
PAは以下になる。
口腔内写真は以下になる。
2度の外科治療で瘢痕ができている。
この施術者はSemilunar Flapを選択したのであろう。
そのようなFlapはもはや歯内療法専門医は誰もしていないのに、だ。
理由は、垂直に走る毛細血管を横に切るために出血量が多くなるからだ。しかもその量のFlapをどうやってリトラクションするというのだろうか?
Submarginal Flapならまだしも、Semilunar Flapにもはや益はないのである。
信じないのであれば、どうぞそれで構いませんが。
CBCTは以下になる。
#7
根尖部が切断しきれていないのがCBCTで予想できる。
残根になっていることが予想される。
適当な歯科医療の結果である。
#8
この根尖部も切断ができていないことが予想される。
この術者は目が見えなかったのであろう。
#9
ここも切断ができていない。
見えないからできないのだ。
なら、見えるようにやればいい。
それがなぜできないのか?私にはわからない。
#10
ここも切断ができていない。
切れない道具、見えない環境では歯科治療はできないのである。
それで迷惑を受けるのは患者である。
この口腔外科医は誰のために存在しているのだろうか?
歯内療法学的診断は以下になる。
#7,8,9,10
Pulp Dx:Previously Treated
Periapical Dx:Chronic apical abscess
Recommended Tx:#7,8,9,10 Apicoectomy
この症例は間違いなく、Apicoectomyである。
なぜか?
Apicoectomyしているのにも関わらず、
再発したらまたApicoectomyをやります、という
およそ無責任な歯科医師らしいコメントだ。
そこには学位や経歴も関係がない。
こんな人間にあなたは治療されたいだろうか?
おおよそ、私が会ってきた歯科医師はこのようなAttitudeであることが多い。
まさに情けない。
歯のプロが、最初から白旗を挙げるとは…
プライドもないのであろう。
しかも口腔外科の専門家が、である。
この国では、一体何を教えているのだろうか?
もはや絶望しかないだろう。
私も大学生の時に口腔外科で見学をしていた時の思い出が蘇ってきた。
見学をしていた私に年配の口腔外科の助教授(当時)が声をかけたのだ。
” おい、お前。これを持て!”
私じゃないと思っていた私は気づかないでいたが、
”おい、お前だよ!早くしろ!”
急いで手洗いをしていた私に彼は、
”そんなことしなくていいから、早くバキュームを持て!”
私は言われるまま、素手でバキュームを持たされた。
そして処置は終わったが、この際、他の口腔外科の講師に私は叱られた。
その男は、某歯科大学の口腔外科の教授として赴任するが不祥事を起こして解任されている。(だいたい、私が知る大学関係者はこういう顛末を辿ることが多い)
”なんでお前は素手で介助したんだ。ふざけるな!”
”いや、呼ばれて素手でいいと言われたから素手でやったんですけど”
”お前は、じゃあその先生が死ね!と言われたら死ぬのか?ふざけるのもいい加減にしろ!”
私は返す言葉がなかった。
多くの患者さんへ。これが日本の歯科大学の現状です。
権威に阿る人間だけが出世する場所が大学病院である。
大学へ歯科治療でかかりたい方は、それを理解して紹介状をもらうべきだろう。
私はそんなモルモットを扱うようなAttitudeを呈してくれるような場所に通いたくはない。
(最近、これに近いことが大学絡みでまたあった。それは次回以降にいずれ書こうと思う。これも呆れる話である)
とこのように、
保険診療ではいい歯科診療はできない
のである。
いい加減、歯科医療従事者はそれを伝える義務があるだろう。
医科と歯科はそこが大きく違うのだ。
それに気づいている人間がどれだけいるだろうか?
私は自由診療のみをおこなっているが、保険医に戻りたいとは全く思わない。
お金よりも大切なことがこの世にはあり、それを放棄すれば、この国の歯科医療は終焉するだろう。(もう終焉しているか?)
私は以下のように修正点を列挙した。
①歯根を切断しかかっているだけなので適切に切断し直して、逆根管形成・逆根管充填を行う必要がある。MTAのような保険適用外の材料は必須
②Semilunar Flapは瘢痕を増やすだけなので、行わない
③補綴治療はやりかえた方がいいが、それは患者さんにお任せする
ということで患者さんは、補綴物を除去せずにApicoectomyを行うことに決められた。
Apicoectomyが行われた。(2017.9.1)
当時は施術をHDに録画していたが、そのHDが私が脳出血で倒れた時にどこかへいってしまった。
返すがえすも不健康であった自分を呪いたい…
が、この際明らかだったことは切断損った根尖部が全て歯槽骨内に残っていたという衝撃の事実である。
先を切っても、感染源が歯槽骨の中にあれば治るはずがない。
子供でもわかることである。
それを全て取り出して、逆根管形成し、MTAセメントで逆根管充填し、Apicoectomyを終了させた。
Ope後3ヶ月(2017.12.6)
症状やSinus tractは消失した。
Ope後6ヶ月後(2018.3.6)
状態は安定している。
Ope後9ヶ月後(2018.6.28)
違和感もなく過ごせるようになったという。
Ope後1年半後(2018.12.13)
状態はかなりいい。
オペをやり直した甲斐があった!と患者さんは喜んでいた。
とここで私は倒れたために、この患者さんがどうなっているか?わからないでいた。
が、この患者さんは私の先輩の紹介であったので、先輩にこの患者さんがまだ来院しているか?聞いたところ、コロナ禍前に来られたそうである。
その際、パノラマ撮影をしていた。
術後、4年経過していた。MTAセメントで逆根管充填している。(2021.1)
パノラマで見た感じでは問題がないように見える。
が、本人に合っていないのでなんとも言えない。
先輩曰く、本人さんは
”全くどこも問題はありません”
と言われていたとのことで合ったが、
コロナ禍と脳出血がこの患者さんと私を分断させた…
もしもこの患者さんが、このホームページを見ていたらぜひ連絡をお待ちしています。
何度か我々から(092-409-8345から)もしくはかかりつけ医から連絡をしています。
我々は、あなたが必要なんです。
Recall費用は0円ですので、ご安心ください。
是非ともご連絡をよろしくお願いいたします。