今週土日は、先週に引き続きマイクロサージェリーマンツーマンコース 2022が行われた。

今年2回目である。

受講生は、私の大学の後輩の先生である。

近年、某地方都市で開業した。

患者さんも多く絶好調だという。

いいことである。

そんな状態でありながらさらに上を目指そうというのは向上心の塊のような後輩である。

ぜひ頑張ってほしい。

ということで、週末にセミナーが行われた。

既に過去に教えた先生であったので最近の変更点を中心に指導した。

切開線をどう入れるか?ということを中心にまず講義した。

使えない知識は意味がないからである。

どう切開していいか?答えが出たあなたはここに来る必要はないだろう。

わからないあなたはここに来る必要がある?だろう。

切開をしたら剥離である。

剥離に関するエビデンスはエンド分野ではほぼないが、経験則的なことを中心に伝えた。

剥離すると、次がフラップの反転、その維持である。

そのような時は、ミネソタリトラクターを使用しろと私はUSCで教わった。

そのようなことにエビデンスはないが、外科治療の基本はミネソタリトラクターである。

これはlightを装着できるタイプのものも販売されている。

ということでそれらを紹介した。

維持すると次は根尖部の剖出である。

根尖部を剖出する場合、3つのパターンがある。

それぞれで対応が異なってくる。

どのパターンでも迷わないようにしよう。

根尖部を剖出したら、次は切断である。

大臼歯部であれば、イスムスが必ずあると言っていい。

論文では、上顎で90~100%, 下顎では36~83%と言われているからだ。

が、次のような場合はどうだろうか?

このような状況で私が思い出すのは、USCの時の同級生の外科時の質問だ。

同級生がDr.Schecterにイスムスがない!と訴えた時である。

“そんなことがあるはずないだろう。イスムスは必ずあるとlit reviewでやったじゃないか。でもないなら、マイクロのライトを消してQ-Opticsを当ててみろ”

今回の実習でもそれを行った。

Light当てた後である。

経験者の話には耳を傾けるべきである、と私がUSCで感じた瞬間であった。

イスムスはあると思う人には見えるけれども、ないと思う人にはあるとも思えないのである。

このように知識はかなり違うと言っていい。

が、以下のように切断に制限があるCaseは頭を使用する必要がある。

1. 切断を制限させて逆根管充填の量を最小限確保するか

2. 切断の仕方を工夫して、細菌の除去を優先させるか?

3. もしくは新品を犠牲にしてパワープレイにでるか?である。

意思決定して治療を行う必要がある。

根尖部を切断したら逆根管形成+逆根管充填する。

最低限必要なことを学べたろうか?

どう切断するか?よりも、どう処理するか?を最優先すべきであるということがわかるだろう。

それを考えれば、どう切断するか?まっすぐ(0度に切れているか?)切れているか?が大したことではないということに気づくだろう。

では、逆根管形成で用いる道具の特徴はどうだろうか?

あなたは詳細を押さえているだろうか?

自分の使用する道具を知らないで敵とは戦えないのである。

自分の道具の詳細をもっと知ろう。

さてここまでわかると、どう逆根管形成をすればいいか?掴めるはずだ。

真っ直ぐ(90°に)切らないといけないのだろうか?という話である。それよりも大切なことがあるはずだ。

USC時代の症例を見せてそれを説明した。

歯科の研修の指導で重要なことは、

こうしてはダメ!と教えるよりも、こうなった場合はどうすればいいか?に関して重点的に指導した方がいいと私は考える。

それが私がロサンゼルスのUSCで2年学んだ出来事であった。

そして逆根管充填である。

現在はLid techniqueで行うことが多いが、そうでない場合でも治癒は起きる。

しかし、いずれにしてもStropko Irrigatorが必要であるということはわかっただろう。

 

そして、充填材料でその予後は左右されないということもわかるだろう。

 

Super EBAの場合

MTAセメントの場合

BC Puttyの場合

Lid Technique(BC sealer+BC putty)の場合

以上を見ていただければ、

充填材料で予後が決まらない

ということがわかるだろう。

この外れてはいけない道を教えるのがセミナーで重要な点

だと私は考える。

どこの大学院を出ているか?とか、誰に教わったのか?とか、そういうことはもはや関係ないのである。

指導者がどれだけその分野に精通しているか?

が重要なのだ。

縫合後はどのように治癒が起きるのか?を患者に説明する必要がある。

その後、成功か失敗か?経過観察がさらに必要か?を患者に説明する必要がある。

必要性がないのに患者は命に関わり合いがない歯科医院なんかに通うことはない。

もっと歯科医療従事者は謙虚になるべきだろう。

ということで1日目の講義が終了した。

2日目は実習である。

マイクロサージェリーの実習を行った。

Apicoectomyマンツーマンコース実習模様

(クリックすると実習の様子が見れます。)

ということで2日間の実習の幕が降りた。

この受講者の目的ははっきりしている。

前歯・小臼歯のApicoectomyは自分で行いたいということである。

目的のない、研修会は通っても無駄である。

効率的に研修会を受講しよう。

そしてもう1つ気づいた点が。

それはデンタルのフィルムを試適している時であった。

これは私が新たに行おうとしているPA撮影のHands-onセミナーのヒントになった。

そしてもう一つのヒントも得られた。

それはIntentional Replantationの実習である。

このセミナーでApicoectomyの掻爬の実習中に抜去歯牙がくるくると石膏模型中で回転することがあった。

なぜこんなに回転しているのか?と聞くと、

石膏を流すときに多くの分離材を抜去歯牙に塗布したからだという答えが受講者からあった。

これは…Intentional Replantationの実習に応用できそうである。

ということで私もセミナーを行うことで受講者から学べたのである。

これがセミナーの醍醐味であるとも言える。

私も学習ができるのである。

ということで盛りだくさんの2日間が終了した。

受講者はこれからも頑張ってほしいと思う。どんどん症例にチャレンジしてほしい。

2日間お疲れ様でした。