バイト先の治療。
患者は50代男性。
前歯部の歯内療法処置を希望されて来院された。
この問題でもう10年以上も悩んでいるという。
この歯科医院に来院される前には、マイクロスコープで有名な?歯科医院に通院していたが、その歯は抜歯だろうとの事で某大学病院へ紹介された。
そして紹介されたその某大学病院では、保存可能であるがApicoectomyのみならず、口蓋からもアプローチして切歯管に近いところも掃除?する??と説明があった???とのこと。
この文章だけではその意味が全くわからないので歯内療法学的検査を行なった。
歯内療法学的検査を行なった。
#6 Cold+2/2, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#7 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#8 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(+), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
#9 Cold+2/4, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio probe(WNL), Mobility(WNL)
PAを撮影した。
すでにでかく形成してある&明らかに根管の形態に沿っていないこの直線上の形成は明らかにSS ハンドファイルでこれでもか!と形成されたものであろう。
いわゆる昔の、米軍を迎え撃つ覚悟を竹槍で示していた日本の一般人のようである。
このことから、外科治療になる可能性が高いため、あらかじめCBCTも撮影していただいた。
#8
#7
このCBCTを見た瞬間に思ったのだが、
一体これのどこを見て、
この歯が抜歯の可能性が濃厚であり、
Apicoectomyだけではなく切歯管側からのアプローチが必要である
と言えるのだろうか?
私には理解ができなかった。
そしてこれが今の日本の歯科界の現状であるというのもわかってはいるが寂しくなった。
本当の歯科医療を行える人がいないのだろう。
情けないとかそういうことじゃなく、患者をここまで困らせてしまわないといけないという事実に閉口してしまった。
歯の問題を歯科医師が解決できないのであれば、患者は一体どこに行って何を信じて治療すればいいのであろうか?
これは大問題だと思う。
でも、この状況が好転することは日本国においてはない。
どんどん悪くなっていくだろう。
まともな歯科医師を早くあなたは見つけてコンタクトを取らないととんでもないことになるだろう…
ついにそういう時代が来たのだ。
話が脱線したが、一通りApicoectomyのお話をした。成功率は90%もある、と。
そしてその治療がうまくいかないのであれば、一度抜歯して再植する話ななどもした。それでも成功率は90%もある、という話をした。
遠方から来られているので、その日に処置になった。
歯内療法外科の一つである、Apicoectomyでは必ずグリーンのキシロカインを使用する。
それ以外は認められない。
USCではこのグリーンライドがなければ、外科治療は中止だった。
しかし日本では販売されていない。
これから出ることもないだろう。
なので血眼になって、ペリオや補綴に探しに行ってたのを思い出す。
なぜこれを用いるのか?といえば、止血である。
これは血まみれにならざるを得ない、歯内療法外科にとってはかなり有効である。
麻酔を打つ部位は、私の場合は
根尖部に1本。
その他0.5CTを術野に打っている。
この日の治療部位は#7,8であるから治療範囲は#5~10である。
広範囲な外科治療になるのでグリーンライドを2本使用した。
治療中〜治療後に痛みが出れば?その時は通常のキシロカインなどを使用する。
ちなみに以上の記述が信じられなければ、通常の日本販売のキシロカインで治療してみてほしい。
血まみれになること請け合いなので。
ということで外科治療が行われた。(以下の画像に嫌悪がある方は飛ばしていただきたい)
歯根端切除し、逆根管形成し、逆根管充填している。
普通のeasyなApicoectomyだ。
抜く必要も、口蓋から攻める必要も何もない。
なんということもない、easyなApicoectomyだ。
何の問題もなく終了した。
治療後にこのPAを見せて何を行なったのか?説明し、終了した。
次回は半年後である。
以下、患者さんの感想である。
先生、ありがとうございました。
こんなに簡単に終わるとは…私は今まで何をしていたのでしょうか。
時間の無駄でした。
でもここまで来れたのは、●▲✖︎(紹介してくださった某先生の)歯科医院の〜先生のおかげです。
本当に私はラッキーでした…
また半年後に見せに来ますので、他の外科治療が必要であると言われている部位もよろしくお願いします。
最後のセリフは私が言わせたものではなく、患者さんの自発的なセリフである。
と言っても次回は6ヶ月後でその次が1年後、そしてそれ以降は1年づつの経過観察で次回の治療は1年後以後となるだろう。(痛みなど生活の質を妨げない限り)
他も必要な箇所があるからApicoectomyしてくれ!などと言ってくる患者がこの世のどこにいるだろうか?
しかし、これが真実である。
米国では大学の違いはあれ、基本的なコンセプトが違うなどということは100%ないので歯科医師によって(この場合は歯内療法専門医によって)独自性が出づらい。
ほぼ同じことしか言われない。
しかし、日本には専門医制度がないので10人いれば10人とも違うことを述べる。
そして患者が苦労する。
このブログを作っているその瞬間の今も、日本ではやばい治療が行われているであろう。
あなたが、あなたの歯を残したいのであれば、何をするべきか?わかっただろうか?