バイト先の治療の経過観察。

口角がかなり硬い患者さんの外科治療〜#19 Apicoectomy

主訴は、

左下奥歯の咬合痛

で、初診時の

歯内療法学的検査(2022.11.22)

では、#19 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(++), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

であった。

PA(2022.11.22)

CBCT(2022.11.22)

M根

分岐部に病変ができている。

分岐部でStripping Perforationさせている。

遠心根は根管形成・根管充填があまい(Foramenからかなり遠い)ので再根管治療でどうにかなる可能性が高い。

近心根は切断が必要である。

また、

ML根には穿孔(ストリッピングパーフォレーション)があるので、ここは封鎖する必要がある

だろう。

が、MLはMBと合流している根管であるし、Apexから3mmをRoot rsesectionするのでここがどうなろうがあまり関係ない。

D根

ここは根尖部の形成が甘い。

再治療でマネージメントできるだろう。

ということで、

まず

1回目に再根管治療を行い, Dを根管形成・根管充填, ML根の穿孔を封鎖し, 支台築造をしたのちに、

2回目にM根をApicoectomyするという治療計画となった。

診断は以下になる。

歯内療法学的診断(2022.11.22)

Pulp Dx: Previously Treated

Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis

Recommended Tx: 1回目 D根⇨Re-RCT, ML根穿孔封鎖, Core build up, 2回目 M根 Apicoectomy

ということで1回目の治療がまず行われた。

#19 Re-RCT(2022.11.22)

#19 Apicoectomy(2022.12.20)

 

ここから時間が1年経過した。

この歯はどうなっているだろうか?

#19 Apicoectomy 1yr recall(2024.1.23)

1年経過して検査すると、

#19 Cold N/A, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)

と初診時の咬合痛は完全に消失していた。

打診痛もない。

PAは以下である。

CTも撮影した。

M根

D根

Apicoectomyで、

M根の頬側の皮質骨をOsteotomyをおこなって大きく穴を開けたのに、頬側の皮質骨が再生している。

遠心根の根尖病変も消失している。

このように、

歯内療法は歯槽骨の欠損を回復できる唯一の歯科治療

と言える。

歯周病ではこうはならない。

ここが大きな違いだ。

初診時と比較した。

初診時(2022.11.22)vs 1yr recall 時(2024.1.23)

根尖病変を治癒させるために除去した頬側の皮質骨が完全に回復している。

遠心の根尖病変も消失した。

最終補綴へ移行して構わないだろう。

最後に、歯の問題で悩む患者さんに、もう一度この言葉を送ろう。

歯内療法は歯槽骨の欠損を回復できる唯一の歯科治療である

そして、

補綴治療は歯内療法の1年〜4年先である=タイムラグがあるので治療費がかさばらない

ということも付け加えておこう。