患者は当時40代の男性。

以前の歯科医院の第1号患者である。

右下6の再根管治療を行なったがSinus tractができてしまい、歯内療法は失敗に終わった。

2017年のことである。(いつ再根管治療をしたか?どんな治療をしたか?はデータがないのでわからない)

2017.10.2にSinus tractにガッタパーチャを挿入し問題を精査したところ、近心根に問題があることが判明した。

CBCTも撮影した。

1つしかガッタパーチャポイントがCBCTで見えない。

合流していたのだろうか?

さて、なぜ遠心根には問題がないと言えたのか?

と言えば、PAで挿入したガッタパーチャポイントが近心根にあたり曲がっていたからである。

このことは問題が近心根にあることを示している。

しかし、もしかすると遠心根にも問題はあるのかもしれない。

が、遠心は1根管で変移もそうおきていないと思われるので私は近心のみを行うと患者さんに告げた。

患者さんもそれを希望したため、近心根のみのオペとなった。

ここで、重要なことがある。

この治療の内容を誰が決めるのか?である。

何度も言うが、治療の内容を決めるのは患者さんだ。

歯科医師に治療の内容を決めることはできない。

治療の利点と欠点を患者さんに説明し、患者さん自身が決めなければならない。

それが歯科治療である。

この場合、患者は近心根、遠心根、ダブルで外科治療をしたくないという希望であった。

それに私は従ったまでである。

それがいけない、そんなやり方ではダメだという考えの人もいるだろう。

しかし、私はそうは思わない。

ここは考え方の違いで臨床に影を落とす部分かもしれないが、歯科医療の内容は患者さん自身が決めなければならない。

ということで、Apicoectomyを行なった。(2017.10.28)

✴︎以下、外科の画像が出てくるのでそういうものが苦手な方はこの先から続く画像の閲覧を控えて欲しい。


私の再根管形成はトランスポーテーションしていたようだ。

MB根が見逃されている。

そこごと超音波で逆根管形成した。

術後のPAは以下になる。


ここから3ヶ月が経過した。

以下のPAになる。(2018.1.27)

外科後、8ヶ月経過時のPAは以下である。

順調に根尖病変は治癒していっているように見えていた。

しかし、この後この患者さんがどうなったのか?私は知らない。

今も問題なくかめていればいいが。

倒れて不自由になったこと、困ったこととは、このように以前の歯科医院の患者さんに連絡が取れなくなったことである。

私は全てを失い、そして全てを取り上げられて、今に至る。

いつかチャンスがあれば経過を見たいと思うがそれは叶わぬ夢だろうか?