紹介患者さんの治療。
主訴は、
左下のブリッジ部分でものが噛めない。ブリッジにものも詰まる…
であった。
歯内療法学的検査(2024.5.31)
#20 Cold N/A, Perc.(+), Palp.(-), BT(+), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
#21 Cold+3/3, Perc.(-), Palp.(-), BT(-), Perio Probe(WNL), Mobility(WNL)
主訴は再現された。
PA(2024.5.31)
何のためかわからない治療だ。
これをやるなら、ちゃんとエンドしなければならないが、その術者にはそういう気持ちはなかったのだろう。
が、
これが保険歯科診療だ。
しかもApical Foramen付近まで太く形成してるような絵である。
再治療の適応症からは外れそうだ。
CBCT(2024.5.31)
再根管治療が可能だろうか?
それで結果が出るだろうか?
といえば、そこは不明だ。
患者さんには痛みという主訴があるので、まずそれを早く消さなければならない。
となれば…
再根管治療よりも、外科治療の方が優先順位が高いだろう。
もし外科治療をするのであれば、
オトガイ孔は#20の下方にあるが、それは術野を巻き込まないとわかる。
そのApexはCEJよりも12mm下方にあり、
そこを3mm切断しようとすれば、
歯槽骨を3m削合する必要があり、
頬舌的に4.6mm切断する必要がある。
事実上、頬舌幅が7.6mmで1根管性の外科治療とも言える。
と考えればそれほど難しい外科治療ではないだろうということがわかる。
いや、下歯槽神経を巻き込むかもしれないじゃないか!というあなた。
本当に巻き込むだろうか?
Apical Foramenは#20のApexよりも4mm下方にある。
そこを傷つけるだろうか?
例えば、4mmのRoot resectionが必要だとして、それが容易にあなたはできるだろうか?
通常、難しいだろう。
そこを傷つけるか否か?よりも、そこをミネソタリタラクターでTraumaを与えないように外科治療するという気遣いをした方がいいだろう。
間違っても、
Apical Foramenはここにありますよ!などと明示するようなことをする必要はないのである。
しかも左下だ。
それほど時間はかからないだろう。
これはEasyな外科治療だ。ということで、診断と治療は以下になる。
歯内療法学的診断(2024.5.31)
Pulp Dx: Previously treated
Periapical Dx: Symptomatic apical periodontitis
Recommended Tx: Apicoectomy
ということで、この日にFPDを除去し、#20のMetal Post Coreを除去し、レジンとファイバーポストでCore build upし、Apicoectomyへ移行した。
⭐︎この後、治療動画が出てきます。不快感を感じる方は視聴をSkipしてください。
#20 Apicoectomy(2024.5.31)
CEJより12mm下方にApexがあるので、そこをOsteotomyした。
するとApexが顔を出したのを鋭い短針で確認した。
その後、3mm Root resectionした。
低倍率にして逆根管形成し、Lid techniqueで逆根管充填した。
術後にPA、CBCTを撮影した。
問題はないだろう。
Osteotomyが下顎孔の挫滅に何の影響も及ぼしていないことがわかるだろう。
ということで、縫合して終了した。
次回は1年後である。
また詳細をお伝えしたい。
さて、当歯科医院は明日, 8/10から8/16まで休診となります。
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします。
また休み明けにお会いしましょう。